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臨済宗大本山 円覚寺

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2021.07.15
今日の言葉

煩悩を無くすには

以前「禅人」の紹介をしたことがありました。

私の知りあいの和尚さんたちをはじめ有志の和尚さんたちが、「禅人」という一般社団法人を立ち上げて、ウェブサイトを作っているのです。

【 禅人は「人」と「禅」が出会うウェブマガジン : https://zenzine.jp】

どのような理念の法人かというと、ウェブサイトによると、

「ZENzineは「人」と「禅」が出会うウェブマガジン。

「悟りを開いたスゴいお坊さん」ではありませんが、そのへんのお寺にいる「ごくフツウのお坊さん」たちが、悩んだり迷ったり楽しんだりしながら、心を込めて作っています。

2019年に始動、2020年より制作開始。以後、ほぼ全てのプロセスをオンラインで進めています。

私たちが何より大切にしたいのは、宗派やお寺を起点とするのではなく、あくまでも「人が中心」であるということ。

「禅」とは知識や思想ではなく、「人」が今を生きるための、シンプルで力強い智慧なのです。

禅に出会うことで皆さんが自分自身を、そして毎日の暮らしを「再発見」できるような、ワクワクする場所でありたいと願っています。

私たちは伝統や形式にこだわることなく、奥深い禅の魅力を、私たち自身の言葉で発信していきます。」

というのであります。

それ以来、御覧下さっている方も多いと思います。

実にサイトを開設して以来、その充実振りには目を見張るものがあります。

新しい伝道布教のあり方だと思います。

お若い和尚さんたちの熱意が感じられる内容です。

法話はもちろんのこと、坐禅、料理、書道、禅の歴史、禅の名僧について、実に豊富な内容です。

これだけの内容を学べるのですから、実に有り難いことであり、驚きでもあります。

代表の山田真隆さんをはじめ和尚さま方の意気込みを感じます。

それから、なんといっても佐々木閑先生の「閑先生のなんでもQ&A」というのが素晴らしいのであります。

あの、佐々木先生に質問ができるのです。

またそれぞれの質問に対する佐々木先生のお答えが素晴らしいのです。

拝読していると、

「煩悩は消せますか?」という質問がありました。

もしも私がそのように質問されたら、

「あなたは、煩悩を消したいのですか」

「はい、消したいと思います」

「そうですか、でもあなたから煩悩を消してしまうと、何も残らなくなりますよ」

「それは、困ります」

「そうでしょう、では、やめておきましょう。ほどほどに煩悩があるから生きていられるのです」

というような答え方をすると思います。

いい加減な答えであります。

それに対して佐々木先生のお答えは、明解であります。

佐々木先生は「その人がそうしたいと願うなら、必ずできます。

「煩悩を捨てる」というのは、「正しい判断のできる人になる」ということなのです。」

「煩悩を捨てるということは、正しい判断のできる人になること」だという説明は素晴らしいのであります。

もう、まさにその通りというばかりなのです。

なにも超人的な心理体験をすることではありません。

如実に、真理を見ることにほかなりません。

これこそが、仏陀の説かれた道なのです。

佐々木先生は、

「煩悩とは、なにか心の中にある「汚いもの」ではなく、心の「間違った働き」を指します。」

と指摘してくれています。

その通りなのです。

いつまでも同じ状態のままでないものを、ずっと変わらないように思い込んでいたり、孤立した自己というものは存在しないのに、自分は独立して存在しているように思い込んだりしています。

これが間違った心の働きなのです。

そこで「煩悩を消す」ということは、「心が起こす間違った作用を止めて、正しく働かせること」だという佐々木先生の解説は、仏陀の教えそのものであります。

やさしい言葉でこれほど明晰に答えられるということは素晴らしいと感動しました。

そこで佐々木先生は、

「『煩悩を捨てる』というのは、「正しい判断のできる人になる」ということの別の言い方です。」と説いてくれています。

そのほかにも、

「宗教とは本来「人間を救うためのもの」だと思いますが、なぜその宗教を原因とした戦争が起こるのでしょうか?」

という質問もあって、それに対しての佐々木先生の答えも、宗教の本質に迫るご回答であります。

皆さまにも是非御覧いただくようにお勧めします。

さて、この「正しい判断のできる人になる」これこそが仏陀の目指したところであります。

正しい判断ができれば、苦しみがやむのであります。

お釈迦様がはじめてお説法された内容が四諦と八正道でありますが、その八正道というのは、正見(正しい見解)正思惟(正しい考え)正語(正しい言葉)正業(正しい行為)正命(正しい生業)正精進(正しい努力)正念(正しい念慮、気づき)正定(正しい集中)であります。

一番はじめに正見という、正しいもの見方があげられています。

正しい物の見方ができれば、自然と正しい思考ができ、正しい言葉を使うことができ、正しい行為ができ、正しい生業について、正しい努力ができ、正しい気づきを保ち、正しい集中ができるようになるのです。

天台小止観を学んだときにも、止観というのは、

「感情を波立たせないこと」と

「思考力を正しくはたらかせること」

という松居桃樓さんの解釈を紹介したことでした。

臨済禅師もまた、

お説法のはじめに「今日仏法を修行する者は、なによりも先ず正しい見解を求めることが肝要である」と説かれています。

「もし真に正しい見解が手に入れば、もはや生死に迷うこともなく、死ぬも生きるも自由である。
何も偉そうにする気などなくとも、自然に全てが尊くなる 」と説かれているのです。

正しい見解が大事なのです。

もっとも仏陀の説かれた正見というのは、四諦を見ることであり、三相を見ることであります。

四諦は、この世は苦しみであることを知ること、苦しみの原因は欲愛であること、苦しみを滅することは渇愛が消滅した状態であること、その苦しみを滅するために八つの道があることを言います。

三相は、すべては無常であること、思うに任せない苦であること、そして固定した自我というものは存在しない無我ということです。

これを正しく観察することこそが、正しく見ることであります。

臨済禅師の場合の正しい見解というのは、お互いが目耳鼻舌身意の六根を通してはたらいている、この心こそが仏であり、外に向かって仏を求めようとするはたらきが止むことを申します。

仏陀は、

『法句経』の33番に「心は動揺し、ざわめき、護り難く、制し難い。英知ある人はこれを直くする」

と説かれ、

また同じく35番に「心は、捉え難く、軽々(かろがろ)とざわめき、欲するがままにおもむく。その心をおさめることは善いことである。心をおさめたならば、安楽をもたらす。」

と説かれました。

また同じく36番には、「心は極めて見難く、極めて微妙であり、欲するがままにおもむく。英知ある人は守れかし。心を守ったならば、安楽をもたらす。」

と説かれて、心は制御すべきものとして説かれました。

ところが、その心が実は仏であったと説くのが、馬祖や臨済の教えであります。

この辺の消息を禅では、「泥棒を捕らえてみればわが子なり」と表現します。

家をかき乱す泥棒だと思って、捕まえてみれば、なんとわが子だったというのです。

私たちをかき乱す心だと思って捕まえたら、なんと仏だったという教えなのです。

そのように正しく見ることができたならば、外に向かって求める心がおさまるのです。

そして、どんな状況にあっても主体性を持って、生き生きと生きられるようになると説くのでありました。

無常や苦であることを見て、欲望を離れるという方向性とは、異なるように見えますが、欲望や執着から離れるというところは一致しているのであります。

いずれにせよ、正しい判断、正しい見解を持つ事によって、煩悩から離れ、苦しみから脱することができるというのが仏教であり、禅の教えであります。

 
横田南嶺

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