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臨済宗大本山 円覚寺

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2021.06.19
今日の言葉

宇宙の本質は?

先日小欄で、神渡良平先生のご労作『人を育てる道 伝説の教師 徳永康起の生き方』の本を紹介して話をしたところ、なんとそれが神渡先生のお耳に入ったようで、先生からご丁寧なお手紙を頂戴しました。

森信三先生の御高弟であった寺田一清先生のことを書いた時には、ご息女の方からご丁寧なお手紙を頂戴しました。

改めていろんな方々が読んだり、聞いたりしてくださっているのだと思いました。

有り難いことであります。

神渡先生のお手紙のなかには、

私の「ラジオ放送の影響は大きく、サイン本の注文が相次いでいます」と書いてくださっています。

そんなに影響など無いと思いますが、神渡先生のお心遣いに感謝します。

そしてそのあとに、

「自分の持ち場でこつこつ努力すると、他の人々がまた動き出されるんですね。

いつぞや横田管長が拙著『自分の花を咲かせようー祈りの詩人坂村真民の風光』(PHP研究所)に序文を書いてくださったとき、華厳経の帝網珠のことを紹介されました。

まさに一つの珠の光が次々と転火して、宇宙全体に広がっていくという譬えのとおりです。」

と書いてくださっていました。

感激しました。

さらに、お手紙と一緒に神渡良平先生が、「神渡良平公式サイト」に公開されている「沈黙の響き」というニュースレターのコピーを同封してくださっていました。

「セキレイが教えてくれた宇宙の本質」という文章には心打たれました。

神渡先生の知人の方の話であります。

車で車道を走っていると、車道のセンターラインで一羽のセキレイが何かネズミ色のもとをつついており、車が近づいても逃げないそうです。

その方は車を停めてよくみると、ネズミ色のものはセキレイのヒナでありました。

ヒナが地面に落ちて、動けなくなっていたのを、母鳥が必死になって飛び立つように促すのですが、ヒナは動かないのだそうです。

車を降りて近ずくと、ヒナは危険を感じたのか、あわてて動き出し、更にその方がヒナを追い立てて藪陰に逃げ込ませたというのであります。

すると、驚いたことに、その間母鳥は、二度三度と急降下して襲いかかってきたのでした。

母鳥は、小さな身体で、自分の何倍もある人間に体当たりを試みてヒナを守ろうとしたのです。

その方は、セキレイの母性本能の健気さに涙したという話であります。

神渡先生は、そこで、

「そんな体験談を読んで、私はすべての“いのち”が授かっている母性本能について考えさせられました。

人間も動物も小鳥も虫も、生きとし生けるものすべてがみんなそういう愛を授かっている……。

ということは、すべての被造物の根源である天の本質は愛だということになります。

この全宇宙は無機質な伽藍洞(がらんどう)なのではなく、それを貫いてカバーしているものは“愛”に他なりません。

その愛を、自分の人格の創造主として、具現化することが私たちの務めなのだといえましょう。」

と書かれていて感動したのでした。

そして更に

「華厳経はこの宇宙を大きな網に譬え、網の結び目にそれぞれ綺麗な珠がついているといいます。

一つの珠が光ると、その光は近くの珠に映り、その光は更に隣に映って、光は幾重にも幾重にも折り重なって全宇宙を光でカバーしているそうです。

それを帝網珠(たいもうじゅ)と表現しています。

悟った透徹した眼差しで見ると、私たちは帝網珠に取り囲まれているように見えるようです。

私たちに母性本能を見せてくれた前述のセキレイも帝網珠の光る珠の一つだと言えましょう。」

と解説してくださっています。

お手紙に帝網珠について触れて下さっているのは、このことなのであります。

そんな文章を拝読していて、毎日新聞の日曜くらぶの海原純子先生のコラム記事も思い出しました。

海原先生の住んでいらっしゃるところは、運河に囲まれているそうです。

ある朝、川の水面が不規則に波打つのが目に入ったそうです。

何かが流されているようなのですが、それはものではないらしいのです。

それは鳥のひならしいと気がついたというのです。

羽根を羽ばたかせてもがいているが、泳げないようで、かなり遠くから流されてきているかもしれないというのです。

海原先生が、ただがんばれとつぶやきながら見ていると、一羽のカラスが水面の上を旋回しはじめ、水面で動く小さな羽に向かって急降下しました。

しかし、うまくゆかないのでした。

カラスは水面に向かって努力を続けました。

しばらくしてヒナもカラスも海原先生の視界から消えてしまいました。

鳴き声の無念さが思い出されたと書かれていました。

セキレイのヒナは助かり、カラスのヒナは駄目だったのかもしれません。

その二つに貫くものは、母がわが子を助けようと必死になっている姿であります。

海原先生は、「子どもを亡くすつらさは人間だけではなく生き物すべて同じなのではないだろうか」と書かれていました。

そんな話を読むと、改めてお釈迦様のお言葉を思い起こします。

「あたかも母が己が独り子を命を賭けても守るように、そのように一切の生きとし生けるものどもに対しても、無量の慈しみの心を起こすべし。(スッタニパータ)
」と。

折から釈宗演老師の『観音経講話』を読み返していて、

「実は世界中どこもかも観世音の慈悲の海でないところはない」という一文に出逢いました。

宇宙の本質は、母が己が独り子を命を賭けても守るよう愛であり、慈悲の海なのだと思いました。

小さくてもいいから、お互いにその愛の光りを灯して、周りも照らしてゆけるようにいきたいものであります。

神渡先生も
「自分の持ち場でこつこつ努力すると光を発するようになり、それが他の人にも好影響を与えて、周りもますますよくなっていくのだ――そう考えると、自分の持ち場を護るということは、大げさに言うと、全宇宙を救うことになるのではないでしょうか。」

と書かれていました。

 
横田南嶺

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