『大法輪』三月号
『大法輪』は、私にとって中学生の頃からの愛読誌であります。『大法輪』のおかげでいろんな勉強をさせてもらいました。
私が読み始めた頃には、大森曹玄老師による、鈴木正三著『驢鞍橋』の講話が連載されていて、一番楽しみにしていました。
あの頃から、四十年も経ちますが、今も毎月楽しみに拝読しています。
今月の特集が、「生活にいかせるマインドフルネスと呼吸法」です。
マインドフルネスや呼吸法には、今も多くの人が関心を持っていることがわかります。
マインドフルネスや呼吸法の、それぞれ今を代表されるような先生方が分かりやすく執筆してくださっています。
マインドフルネスはどのようなものか、仏教とはどう異なるのか、
呼吸法ってどれを行えば、どういう効果があるのか、知りたいと思えばとても役に立つことでしょう。
呼吸法については、私自身も長年いろいろ研究してきました。
そうして、ようやく到り得たところが、
「窒息しなければだいじょうぶ」
というものです。
もちろんのこと、さまざまな呼吸法があり、それぞれに効果があるのです。
しかし、あまりそれにとらわれて過ぎてしまい、かえって息苦しくなってしまうと本末転倒なのです。
呼吸は、あれこれ意識しなくても、ちゃんと精妙に調ってくれているものです。
むしろそのことに気づくことが大切だと思うようになりました。
ただ呼吸法の本などを読んで勉強するのは楽しいものです。
なにせ、呼吸法の本を読んでいると、必ず健康にいいというように良いことを強調してくれています。
ですから、読んでいるだけで、何か健康によさそうな気持ちになれます。
否定的なことを書いた書物を読むより、
「体に良い」、「ストレスも軽くなる」、「元気なる」などという言葉のあふれている本を読む方が、心に良いように思います。
実際に一息一息体がよくなる、健康になると思って息をしていると、そうなる気がします。
そんな「気」というものが、あなどれないものです。
ともあれ、あまり細かくとらわれて息苦しくない程度に、学ばれたらよろしいかと思います。
今回の特集のなかで、本間生夫先生が、
「不安と呼吸は一体となって動くので、その人の呼吸数をすこしでも下げれば不安も和らぎます。」
とある言葉などは、真実を語っています。
ちなみに、来月号には私も執筆させてもらっています。
横田南嶺