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臨済宗大本山 円覚寺

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2021.10.29
今日の言葉

『生きるって、なに?死ぬって、なに?』

以前紹介したことのある『生きるって、なに?死ぬって、なに?』という本がようやくできあがりました。

東京書店から出版です。

タイトルが、『生きるって、なに?死ぬって、なに?』、表紙には、

「12歳から考える 答えはないけど、大事なこと」

と書かれています。

オビには、

「様々な職業で活やくする知識人、著名人に、この難しい問題について聞いてみました。

私たちはこう思う、キミたちはどう思う?」

と書かれていて、十名の知識人、著名人の顔写真が並んでいるのです。

その中に、なんと私も入っているのであります。

どう考えても、私は、知識人ではありません。そんなに知識はないことは確かです。

著名人でもありません。

まあ、一人だけ例外ということでしょう。

この本のまえがきには、

「この本は、未来をよりよく生きるためのヒントになればという思いで、小学校高学年から中学生のみなさんに向けて作りました。
「生きる」「死ぬ」がなんなのかなんて、じつはだれにもわかりません。
しかし、だれもみないつか死ぬことは知っていて、それを知りつつ生きているので、生きるということを大事にしなくてはいけないと、本能的に感じています。なんだか不思議ですよね。
この本では、このだれにもわからないけれど、だれもが大事だと感じていることを、いっしょに考えていきたいと思います。」

と書かれていて、

「「生きる」「死ぬ」に疑問をもつときは、たいていは何かに迷ったときや、なやんだときだと思います。そんなときは、この本を開いてもらい、少しでもみなさんが元気になれることを祈っています。」

という思いで作られた本なのです。

幼少の頃から、人の死について考えて生きてきた私にとっては、とても嬉しい出版であります。

この本は、二部で構成されています。

前半は、十二の項目について書かれています。

①生きることにふと疑問を感じたとき
生きるってなんだろう?

②生きるのがめんどうだと感じたとき
 なんとなくわずらわしいのは、なんでだろう?

③つらい気持ちからぬけ出せないとき
 生きることからにげられるのかな?

④生きるをちょっとだけ深く考えたとき
「生きる」と「生きている」ってちがうの?
 
⑤生まれてきた理由を考えたとき
 自分が生きていることに意味ってあるのかな?

⑥生きていくことに見通しをもちたくなったとき
 これから先、生きているとどんなことがあるんだろう?

⑦生き方について考えたとき
「いい生き方」、「よく生きる」ってなんだろう?

⑧死について考えたとき
 死を想像することって、むずかしくない?

⑨生きていく先に死があると考えたとき
 どうせ死ぬのにがんばって生きる意味はあるの?

⑩死ぬときのことを考えたとき
 自分の死は自分で決めていい?

⑪死に方について考えたとき
 いい死に方ってあるのかな?

⑫死んだあとのことを考えたとき
 死んだあとはどうなるのかな?

という実に簡単なようで、難しい問題について、小中学生でも分かるように、たくさんの分かりやすい絵とともに書かれています。

後半は、十名の知識人と著名人とその例外の私へのインタビューであります。

動物学者、声優・歌手、小説家、僧侶、小児科医、納棺師、哲学者、フォトジャーナリスト、宗教学者、助産師という十の職業の方が書かれています。

私は、僧侶の代表となっています。

有り難いことに、私の肩書きも「僧侶」のみなのです。

管長などというのが無いのが嬉しいことです。

インタビューの見出しをみてみますと、

動物学者の方は、
「動物の生き方を少し参考にすると、もっとラクに人間はいきられる」

小児科医の方は、

「健康でも病気でも、生きているだけでえらい!」

納棺師の方は、
「亡くなってもなお、人は人の中に生き続けている」

哲学者の方は、

「生きるとは自由になること」

助産師の方は、

「生まれてきたこと、生きてきたこと、すべてが奇跡なんだよ」

という具合になっています。

私はというと、

「「死ぬのがこわい」それでいい。まずは一日一日を大切に生きましょう」

となっています。

それぞれの知識人、著名人には、章の終わりに五つの質問がなされています。

それは、

今までの人生で一番“生きている!”と感じたときは?

毎日生きていくうえで大切にしていることは?

支えにしている言葉は?

なやんだときにすることは?

死んでしまう日がわかったら、その日は何をしますか?

という五つの質問であります。

それぞれの方が手短に答えてくれています。

因みに、私の答えだけを一部紹介します。

今までの人生で一番“生きている!”と感じたときは?

それは今です。

毎日生きていくうえで大切にしていることは?

「今日一日笑顔でいよう」という気持ちです。

支えにしている言葉は?

特に決まったものはありません。毎日新鮮な気持ちで新聞や本を読み、ピンときた言葉を大切にします。

なやんだときにすることは?

まずは姿勢と呼吸を調えて、体がしっかり生きていることを確かめます。

死んでしまう日がわかったら、その日は何をしますか?

「あなたに会いたい」というような人がいればいいのですが、そんな人もいませんので、私なりに思うことを答えておきました。

十人目、最後を飾るのは、助産師の方でした。

「命」が生まれることは奇跡でしかないという章です。

「「よくがんばって生まれてきたね。えらかったね。幸せになるんだよ」

出産に立ち合い、生まれたばかりの赤ちゃんの顔を見るたび、いつもこんなふうに声をかけています。
私は助産師として、今まで三千人ほどの出産に立ち合ってきました。」

という方の言葉には説得力があります。

「今でこそ医学の進歩で、出産のときに母親が亡くなる確率は減りましたが、それでもゼロではありません。出産はまさに命がけなのです。

母親は、出産前に十か月も、おなかの中に自分以外の命をかかえています。おなかの中でわが子が成長するにつれ、自分の体の自由がうばわれます。出産するときは激しい痛みにたえなくてはならないし、その痛みが何時間も続くことがあるのです。

そんなたいへんな思いをして、お母さんはみなさんを世に送りだしてくれました。
みなさんが無事に生まれてくること。そのためにお母さんもみなさん自身も、どれだけ多くの困難を乗りこえなければならなかったか。

命が生まれることって、まさに奇跡でしかないのです。みなさんが今、ここにいることの「すごさ」をちゃんと知ってほしい。命を軽く考えてはいけませんよ。」

という言葉には、目頭が熱くなります。

子ども向けに伝えるということは難しいことです。

それだけに、知識人、著名人と、例外の私も真剣に考え答えています。

小中学生に読んでもらいたいのはもちろんのこと、大人が読んでも勉強になります。

私も読んで感動しています。

子どもたちが、この本を手に取って読んでいて、大人からそんなことを考える暇があったら、勉強しろ、塾へ行けと叱られることのないように願います。

『生きるって、なに?死ぬって、なに?』、お勧めです。

 
横田南嶺

『生きるって、なに?死ぬって、なに?』

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