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臨済宗大本山 円覚寺

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2026.08.02
今日の言葉

人生一回、身体一つ

先日は、椎名由紀先生にお越しいただいて、呼吸法の実践を行いました。

椎名先生とは、春秋社より『ZEN呼吸 「健康」は白隠さんから』という共著を出しています。

呼吸法のアドバイザーでいらっしゃいます。

また椎名先生は、長野県の上田に田んぼを持っておられて、そこで無農薬無肥料でお米を作っておられます。

その田んぼの田植えや、田の草取り、そして稲刈りには、修行道場の修行僧たちもお手伝いをさせてもらっています。

毎回数人ですが、希望者を募って、田植え、草取り、稲刈りに参加してもらっているのです。

無農薬の田んぼに入るなどいうことは貴重な体験です。

修行僧たちにも良い経験になっています。

田の草取りに行ってもらった翌日、椎名先生は円覚寺にお越しくださいました。

はじめに、椎名先生のお話があります。

今回驚きましたのは、姿勢と呼吸法を教えておられる先生なのですが、まだご自身でも自分の姿勢について分かっていなかったと仰ったことです。

「一番わかってないのは私だった」と仰っていました。

自分の姿勢の過ちに気がついて、今姿勢を作り直しているというのです。

どう拝見してもきれいな姿勢にしか見えないのですが、ご自身で深く探求していくと、さらに深くなっていくのでしょう。

一か所直すと、また全部が崩れていくので、それをやり直しているのだというのです。

それが鎖骨のことでした。

これは私も今回の大きな気づきでありました。

鎖骨というと、体の中心側にある胸骨から、外側にある肩甲骨へとつながっている骨であります。

胸骨から左右についていると思っています。

真横にあるように感じています。

ところが、これが違うのです。

鎖骨は真横ではなく約四五度後方へカーブしているのです。

肩側の付け根は胸側より3〜5cm後ろに位置しています。

それを真横にあるように感じていると、巻き肩や姿勢の乱れを助長してしまうというのです。

椎名先生は、過去に鎖骨を骨折されたことがあるそうで、鎖骨には左右差があるそうです。

さらにスマホ使用による巻き肩が悪化してしまうのです。

そこで鎖骨の位置を正しく認識して矯正していく運動から始めました。

これは腕の外旋を行うのです。

そんな体操から始まりました。

鎖骨は四五度後方と意識するだけで変わるものです。

夜眠れないという方が多いという話題になって、そこで就寝前に体を緩めて呼吸をする方法を実習しました。

先だってもある集まりで話をしていて、眠れない人が多いという話題になりました。

私は眠れないということを体験したことがありません、横になれば数秒で寝てしまうと言うと、とても驚かれてしまい、逆にこちらが驚いたのでした。

布団に入れば寝ればいいと思うのですが、寝られないという方がけっこう多いのだという話を聞いたのでした。

椎名先生に教わった方法は、春秋社の『ZEN呼吸 「健康」は白隠さんから』に、椎名先生の写真入りで詳しく載っていますので、それをご覧になれば、どなたでも実習できます。

私も実習しながら、寝そうになってしまったほど、効果的であります。

それから今回は軟酥の法も実習しました。

白隠禅師がお若い頃に心身ともに不調であった時に実践して健康を回復された方法です。

こちらも『ZEN呼吸 「健康」は白隠さんから』の中で詳しく解説してくださっています。

軟酥の方とは、白隠禅師の『夜船閑話』の「軟酥の法」には、次のように書かれています。
「白幽先生曰く、「修行者が坐禅を実践している時、四大不調、身心ともに疲労したことを感じたなら、心を奮い立たせて、このように想像したらよい。
たとえば色彩や香気が清らかで、鴨の卵のような大きさの軟蘇(軟酥)を頭の上にひょいと置いたと仮定する。
そのにおいと味いは何とも言いようもない位すばらしいものだが、それが頭全体を潤し、次第にじわじわと辺りを潤しながら下って来て両肩両臂に及び、両乳、胸と腹の間、肺、肝、腸、胃、背骨、腰骨、と次第に潤しそそぐ。」と解説されています。

その軟酥を椎名先生はお薬バターと表現されています。

まずは、吐く息で、そのお薬バターが流れて頭蓋骨に染みわたり、中にある大脳、小脳、そして頭の中心である脳幹部を浸してゆきます。

さらに脊椎の中を頸椎、胸椎、腰椎、と降りてきて、仙骨、尾骨まで背骨の中の脊髄を温め浸し、潤します。

続いて大きな肺を潤し、気管・食道を潤します。

心臓から左側の胃、右側の肝臓、その下の胆のうへと続いていきます。

それから膵臓、十二指腸、脾臓、腎臓から尿管へと潤してゆき、小腸、大腸、そして膀胱、生殖器とお薬バターで温め浸していくのです。

このように椎名先生の先導で皆で実習しました。

最後に椎名先生は、

「人生一回、身体一つ。

この身体をどう使うかで、人生変わってゆきます。

この身体を大事にしてあげてください。そして感謝を送ってください。

内蔵のひとつひとつすばらしいもので、人間が作れるものではありません。

こんな不思議な身体を皆さんいただいているわけですから。愛でて、大事にして、メンテナンスして、ご機嫌に過ごせるようにしましょう」と語ってくださいました。

皆も姿勢がよくなり、椎名先生から元気をいただいたのでした。

 
横田南嶺

人生一回、身体一つ

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