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臨済宗大本山 円覚寺

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2026.04.23
今日の言葉

生きていることは奇跡

先日は近藤瞳さんにお越しいただいて、地球ワークショップを行ってもらいました。

修行僧達皆と共に体験しました。

思えば近藤さんとの出会いは、二〇二二年のことでした。

それから毎年このワークを行ってもらっています。

今回で五回目となります。

五回も体験させてもらっていますが、毎回新鮮なのであります。

これは、「ディープ・タイム・ウォーク」ともいいます。

地球四十六億年の歴史を4.6kmの道のりに見立て、歩きながら地球と生命の進化を体感するのです。

近藤さんはイギリスのシューマッハ・カレッジで学ばれたものです。

今は近藤さん独自の工夫を加えておられるようです。

初めて体験する、新しい修行僧もおりますので、一から丁寧に教わります。

こちらも一年ぶりですので、ほどよく忘れたことであり、新鮮な気持ちで拝聴できます。

四十六億年の歴史を一年に見立てて学んで行きます。

地球誕生の四十六億年前が、一月一日です。

その頃の地球はどうであったか、近藤さんは、今の地球と全く違って、熱い、速い、臭いと仰います。

今の地球の気温は平均十五度くらいだそうです。

はじめの頃の地球は六千度というのですから、想像を絶します。

宇宙の隕石がぶつかって、くっついたのが地球の始まりだといいます。

速かったというのは自転の速度です。

今は一日が二十四時間で、地球が自転しますが、地球のはじまりの頃は、自転は八時間くらいだったと説明されていました。

とても速いのです。

いつも拝聴することですが、それにしても今の地球の自転だって速いものです。

今もっとも速い乗り物というと、飛行機や戦闘機でしょうか。

それよりも地球の自転の速度は速いのです。

赤道上ですと、時速一六〇〇キロくらいだと言われますので、新幹線や飛行機よりも速いのです。

本当なら立っていられないほどであります。

それが重力のおかげで立っていられます。

近藤さんは、今立っているだけで奇跡なのだと仰っていました。

近藤さんが、熱い思いでそう語ってくれると、その通り、今ここに立っているだけで奇跡のように思えてきます。

今から四十五億年前、地球が出来てから今日までを一年に見立てると、1月12日頃、月と地球に分かれました。

大きな天体が地球に衝突して、その破片などが宇宙空間に飛び散り、それらの塵などが地球の周りに円盤状に広がっていました。

やがて重力によって集まり、一つの天体となったのが月だそうです。

月は毎年約3.8cmずつ地球から遠ざかっているそうです。

月があることで地球の自転は安定し、気候も安定しているのです。

近藤さんは破壊と再生ということをよく説いてくださいます。

巨大な天体がぶつかって月ができたのですが、その衝撃で地球の地軸が、傾いたというのです。

23.4度傾いています。

そのおかげで四季が生まれるのです。

傾きのあるおかげで、ある時期は北半球が太陽に向きます。

半年後には南半球が太陽に向きます。

それが交互に起こります。

その結果、太陽光が強く当たるところは夏になり、斜めに当たるところは春や秋になり、弱くしか当たらないと冬になるのです。

こうして四季ができます。

地軸の傾きがなければ、四季がなくなり、生態系の多様性が減る可能性があります。

四季は「変化」を生み、それが生命の多様性を育てているのです。

衝突という破壊は再生へとつながっているのです。

私たちが満天の星を眺めていても、それは宇宙のほんの3%にしか過ぎないという話も驚きであります。

97%は見えていないのです。

これは人間の潜在意識が97%、顕在意識が3%というのと共通だといいます。

私なども、お互い何事でも分かったようなつもりになっているだけで、実際の3%くらいしか見ていないのだと思うようにしています。

四十一億年前の2月9日に水ができました。

これは太陽と地球の距離のおかげだそうです。

1500万キロ離れているそうですが、水星や金星のように近いと、すべて水蒸気になってしまうそうです。

また火星では氷になってしまいます。

地球と太陽の距離が絶妙に保たれているので、水ができるのです。

そう思うと朝一杯の水をいただくのも感動します。

三十八億年前の2月25日、微生物が生まれます。

たった一個の細胞ですが、生命が誕生しました。

この一個の細胞がどうして生まれたかは不思議なのです。

その不思議な一個が何十兆も集まっているのがお互い人間ですので、生きているだけで奇跡なのです。

二十七億年前、5月31日、酸素ができました。

酸素は生きる上で欠かせないものですが、もともとは毒であります。

毒が強いのは栄養にもなると仰っていました。

二十一億年前の七月十日、真核生物が生まれました。

真核生物とは、細胞の中に核膜に包まれた核を持っているのです。

一つの細胞は16ミクロン、一ミリの千等分くらいらしいのです。

その中にDNAが折りたたまれておさまっています。

折りたたまれている46の染色体を長く伸ばすと、180センチくらいになるそうです。

そんな細胞が六十兆集まっているのが人間です。

180センチが60兆ありますから、地球と太陽を300回も往復できるほどの長さだというのです。

六億年前の11月14日、多細胞生物が生まれました。

五億年前の11月20日、海の中で魚類が生まれました。

4億二千万年前、11月28日、両生類が生まれて海から地上にでます。

3億年前、12月3日、虫が生まれます。

この頃の虫は大きかったようです。

ここで今は虫が激減している問題について触れておられました。

これは私など寺に住んでいても実感していることです。

二億五千万年前の12月13日恐竜がでます。

大きな恐竜が地上に跋扈していたのでした。

恐竜の絶滅には諸説あるようです。

隕石衝突説などが有力のようです。

多くの恐竜が滅んで、一部が鳥類として生き残っています。

哺乳類は生き残ったのでした。

12月26日、鳥がでます。

12月27日、哺乳類の時代になります。

12月31日になって、アウストラロピテクスがでます。

二十万年前、12月31日の23時40分頃になってようやくホモサピエンスが出てきます。

23時59分30秒になって宗教が始まります。

二千五百年から二千年前で、お釈迦様やイエスキリストが出た頃です。

二百年前の59分58秒で産業革命が起りました。

地球カレンダーではたった二秒でこれだけの産業を発達させたのです。

コンクリート、プラスティックなどはこの二秒で出来たのです。

たった二秒で石油や石炭も使い果たそうとしています。

このことは毎回聞きながら考えさせられます。

そして最後に近藤さんが伝えてくださることは三つです。

今生きていることが奇跡だということ、そして各自が自分のペースで生きること、それから、すべてはひとつだということです。

地上にある千差万別あらゆるものは、もとをたどれば電子や陽子中性子のはたらきにしか過ぎません。

この地球に生きている生命のみなもとはみな同じだというのです。

近藤さんのお話は、単なる知識ではなく、ところどころにご自身の体験を織り込んでお話くださいますので、とても身近なことに感じることができます。

自分のペースということも今回もはだしで山を登りましたので、一歩一歩自分のペースで丁寧に歩くことができます。

お話を聞きながら歩いていると、一本一本の木も親しい存在に感じます。

足元に踏みしめる一枚の葉っぱも愛おしいように感じるのです。

毎回活力みなぎる近藤さんにお目にかかり、地球ワークをしながら歩くと、大きな力をいただくのであります。

 
横田南嶺

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