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臨済宗大本山 円覚寺

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2023.08.10
今日の言葉

あつい講演

腰塚勇人(こしづか はやと)先生という方がいらっしゃいます。

「命の授業」という講演活動をなさっている先生であります。

数年前、静岡で講演した折に腰塚先生もお越しくださっていて、その時にご挨拶させていただいたことがあります。

以前にもご紹介したことがありますが、中学校の教師だった腰塚さんは、スキーで転倒したときに「首の骨」を折るという大けがをしました。

その時に、医師は奥様に、

「たぶん、一生、寝たきりか、よくて車いすの生活になるでしょう」

と告げたそうです。

手術は成功したものの、首から下は全く動きません。

その頃は、どうやったら死ねるかだけを考えていたと言います。

奥様や母親や家族の支え、学校の仲間や生徒達の励ましもあって、腰塚先生は「一人じゃない」「生きなきゃ」と思ったのでした。

腰塚先生は、「まったく動けなくても、『花』のように生きることはできるかもしれない。

今のすべてを受け入れて、いつも『笑顔』でいると決めました。

どんなことにも『ありがとう』を言おうと決めました」

とご著書『命の授業』に書かれています。

そう思ってから、なんとんだんだんと体が動き始めたのだそうです。

主治医の先生にも「首の骨を折って、ここまで回復した患者は腰漬けさんがはじめてです」と言われたほどなのでした。

そして腰塚先生は、学校に戻るときに、ご自身で五つの誓いを作られました。

口は、人を励ます言葉や感謝の言葉を言うために使おう。
耳は、人の言葉を最後まで聴いてあげるために使おう。
目は、人のよいところを見るために使おう。
手足は、人を助けるために使おう。
心は、人の痛みがわかるために使おう。

というものです。

数年前の講演会でご挨拶させていただいて以来、毎月腰塚先生が出されている『幸縁』というものを送っていただいています。

最近は、わざわざ円覚寺までお届けくださっています。

その腰塚先生から依頼されて、腰塚先生の第七回「共志道」という集まりで講演をさせてもらいました。

この会はどういうものかというといただいたパンフレットには、

「キッカケは命の授業の講演を通じて、ご縁をいただいた全国の子どもたちのドリー夢メーカーでいてくださる先生たちや大人たちが、私との関係だけでなく横でつながってもらえたら、 もっと子どもたちの未来や学校生活にスゴイ化学反応が起きるのではないか」と思って始められたそうなのです。

今回が七回目、いろんな処で開催されているらしいのですが、今回は小田原での開催でありました。

パンフレットに腰塚先生は、

「しかし今、 学校では 「志」を教えなくなった…。

先生たちが志の意味さえ知らない。 本当に先生や大人は学んでいるのだろうか。 何を学んでいるのだろうか。

子どもたちに何を伝えたくて、 どんな大人になって欲しいのだろうか。

「生きる力」 「人間力」「教育」 言葉遊びになってはいないか。」

という懸念を抱いていらっしゃいます。

そして腰塚先生は、

「子どもたちへのキャリア教育の原点は、目の前の先生や大人が家族や仲間たちと応援し合い助け合いながら楽しくいること。

自分の仕事にプライドを持っている姿を子どもたちに見せること。

子どもたちが皆さんを見て、あんな大人になりたい!!ってワクワクするか…」という熱意をもって開催されている会なのであります。

会は午後一時から小田原市内の高等学校のホールで行われていました。

私の講演は午後三時からでしたが、その前にどのようなことが行われているのか、学んでおこうと思って、開会から参加していました。

腰塚先生の挨拶があり、二人の先生の実践報告がありました。

この二人の先生のお話が素晴らしかったのでした。

お一人は千葉県船橋市の小学校の校長先生の方でした。

校長先生というと、ずいぶん年配の方を想像しますが、私よりも五歳お若い先生でありました。

腰塚先生と出会い、なんとか小学校で先生の講演会を開きたいと思って、小学校の百五十周年記念に先生の講演会を開くことができたという話でありました。

言葉は生きる力になると、その校長先生は話しくださっていました。

たしかに腰塚先生の実体験から出る言葉には深さと重みがあります。

校長先生は「人生の目覚まし時計」という話をされました。

それは、自然災害や事故、火事や病気など、突然劇的な形で、いのちの尊さについて気づかされる時であります。

腰塚先生は、まさにその「人生の目覚まし時計」によって、命の尊さに目覚めて命の授業を始められたのです。

しかし、そういう体験がないのに、いくら口で命は大事だと言っても子どもたちの心には響かないと言っていました。

実際にいくら先生が、命が大事だといっても、子どもの自殺は減りません。

校長先生は、教師自身が自ら生死をさまようような体験をしていないと、中途半端に命について語ることは不要ではないかと指摘されていました。

そういう思いを抱いていたので、自ら生死をさまよう体験をされてきた腰塚先生の講演をお願いしたいと思ったというのです。

腰塚先生は、命の重さを知っているからだと校長先生は仰っていました。

もう一人の先生は長野県伊那市の中学校の先生でいらっしゃいました。

先生は、なんと昨年一年間に三回も腰塚先生の講演を中学校でなさったというのです。

第一回は入試前の三年生を対象に、第二回は七月に一年生を対象に、そして十月には全校を対象におこなったそうなのです。

一月の講演を聴いた生徒さんからは、「あんなに生きることを楽しんでいる人に会ったのは初めてです、大人になることがこれからの人生の楽しみになりました」という感想があったというのです。

たしかに腰塚先生は、人生エンジョイということを繰り返し説かれていました。

腰塚先生の説かれるエンジョイのエンは縁の縁なのです。

三回目の全校八百名に講演をしてもらって、生徒が変わり、先生が変わったと仰っていました。

生徒たちは、自分を大切にするようになる、仲間を大切にするようになる、素直な子になるというのです。

先生たちも、ヘルプが言い合える、自信と勇気、そして元気と笑顔をもらえたというのでした。

これも確かに腰塚先生は、元気と笑顔の方でいらっしゃるのです。

そして腰塚先生の講演を聴いて女子バレーボール部が二一年ぶりの県大会に出場できたと仰っていました。

その先生は、バレーボール部の生徒さんに、大事な場面でよく「心の湖は穏やかですか」と問うそうです。

これは素晴らしいことだと思いました。

自分の心はいまどんな状態なのかと観察するだけで、心は穏やかになります。

心の湖という言葉を使うことによって、心は広く深い湖のようなものだというイメージを持つことができます。

これだけでも心に大きな影響があります。

そして合い言葉が「自分の気持ちは自分もち」というのです。

自分の気持ちひとつで変わってゆけるのです。

それからその先生は、学校になかなか来られない生徒さんの為に常に居場所を作るように工夫されているという話にも感銘を受けました。

お二人の先生のお話のあと、みんなでシェアタイムが設けられていました。

その時間、私は控え室で自分の講演の準備をしていました。

そうしてしばしの休憩の後に私の講演となりました。

一時間「いのちを拝む」と題して講演しました。

学校のホールというのは冷房がなく、その上先生たちや参加者の方々が熱意をもって話し合ったあとなので、実に熱気にあふれていました。

あまりにも心も体も熱していると感じたので、私は講演の始まりに、二分ほど立腰、瞑想をしてから行いました。

それでも一時間話すと、久しぶりに全身汗びっしょりになりました。

皆さんの熱意に心打たれました。

実に有り難い、あつい講演会でありました。

腰塚先生とのご縁に感謝します。

 
横田南嶺

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