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臨済宗大本山 円覚寺

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2023.05.08
今日の言葉

健康と干しシイタケ -「PHPからだスマイル」六月号 –

「PHPからだスマイル」という冊子があって、その六月号に私が載っています。

私もなんどかこの「PHPからだスマイル」に載せてもらっていますが、今回は、なんと巻頭インタビューなのです。

今まで、巻頭インタビューというのは、タレントさんや著名人がきれいな写真と共に出ておられていました。

私も何度か「PHPからだスマイル」の取材を受けても、巻頭インタビューは私に関わりのないものだと思っていました。

ところが、どういうわけかわかりませんが、私が登場しているのであります。

表紙を一枚めくると、なんと私の写真が出てくるのであります。

被写体はよくなくても、写真がきれいなのであります。

取材に答えた内容は、いつもお話している、五つを調えることです。

食事と睡眠と姿勢と呼吸と心の五つを調えるのです。

いつも自分で作っている甘酒や豆乳ヨーグルトを、取材に来てくれた方に差し上げましたところ、その甘酒と豆乳ヨーグルトも写真に撮ってくださって、載っています。

甘酒もご飯と糀とで作りますが、これはそんなに難しくありません。

豆乳ヨーグルトは、発酵の研究をなさっている栗生隆子さんから教わったものです。

はじめに玄米と豆乳で種菌を作るところから始めます。

種菌さえできればあとは楽なのです。

さてその「PHPからだスマイル」六月号は、「薬に頼らない!中性脂肪・コレステロール」というものです。

私の記事の中では、「私の持論ですが」と断っておいたうえで、「生活習慣病などの病気のほとんどは食べすぎからくるもの。食べる量を減らせば、元気を取り戻せるような気がします」と書いています。

脂質異常についての基本的な知識からはじまって、食べていいもの、ダメなものなどが書かれていて、「コレステロールを調整する干しシイタケ活用法」というのがあります。

そこには、

「天日に干した干しシイタケは、うま味成分が増えるとともに、栄養価も増して、それは生シイタケの100倍ともいわれています。

そんな栄養満点の食材を避けていてはもったいないと思いませんか。

シイタケに含まれる栄養の中で、めずらしいのが「エリタデニン」という成分。

キノコ類では、シイタケとマッシュルームにだけ含まれています。

コレステロール量の調整をしてくれるので、健康診断の結果などで“脂質異常”の心配がある方には、ぜひ摂ってほしい食材です。」

と書かれています。

干しシイタケは、お寺の暮らしには無くてはならないものです。

特に精進料理のお出しをとるには、昆布と干しシイタケが基本です。

もっとも干しシイタケは煮物にしてもおいしいし、佃煮のようにしてもおいしいものです。

そんな干しシイタケの記事を読んでいて思い出したのが、道元禅師のお話であります。

曹洞宗ではとてもよく知られた話であります。

『典座教訓』に出ています。

余語翠厳老師の『いたるところ道なり『典座教訓』講話』から引用しましょう。

道元禅師が、中国の天童山で修行していた頃のことです。

「私が昼食のあと、東の廊下を通って超然斎に行く途中、仏殿の前で用典座和尚が茸を干していた。

そういう所へ通りかかったのですね。

手には竹の杖を持って、頭には帽子もかぶらずにやっている。

「天日熱し、地甎熱す」。

あの辺の寺は敷瓦が敷いてありますから、かんかん照りの照り返しの中で、そういう暑い中でやっているわけです。

「汗流徘徊すれども」のすれどもは、汗を流してという意味です。

何々すれどもという意味ではありません。

汗を流してあちこち動いておってということです。

「力を励まして苔を晒す」、一生懸命に茸を干している。

どうも辛そうだというわけです。

背骨が弓のように腰が曲った老僧なのですね。

大きな眉毛は真白に鶴のような形をしている。目に見えるようですね。

私は近寄って、その典座和尚に「お歳はおいくつですか」と聞いた。

法寿というのは法体の寿命ということで、歳ということです。

すると六十八歳と答えた。

この頃は六十、七十は年寄りのうちに入らないらしいが、昔は六十八歳で腰が曲って髪は真白ということになると年寄り扱いしてもらえるわけです。

「如何ぞ行者人工を使わざる」の行者というのは、いろんな用足しをする人達、或いは人工というのは雇った人達、そういう人達にやらせないで、なぜ自分でそんな辛いことをなさるのかとたずねたわけです。

慰めたようなことです。

そうしたら、「佗は是れ吾にあらず」 と典座和尚が言ったのです。

他人のしたことは自分のしたことにならん、というわけです。

この頃は若い人がみな汚いことやしんどいことは外国の人にやらせているが、自分でやらなければいかん。

自分でいのちの姿としてやるのがほんとうなのです。

それが修行なのです。」

という話なのです。

余語老師は、

「「佗は是れ吾にあらず」、 自分の修行です。

ここの寺でも朝坐禅をしますが、年をとった人はやらなくてもよいと思っている人がいて、私はここの住職だけれども「あんたも坐禅するんですか」と聞く人がおる。

「当たり前じゃないか」と言うのだけれども、若い時に修行して、年をとったら修行せんでもいいと思っているらしい。

一生修行じゃ。それが「佗は是れ吾にあらず」ということだから、この和尚も自分でやるわけです。

普通だと自分でやらずに「誰かやっとけ」と言うのだけれども、それをやること、それがいのちの姿なのです。」

と懇切に説いてくださっています。

更に問答は続きます。

「「山僧云く、老人家如法なり」、 ご老人のおっしゃるとおりです。

おっしゃるとおりですが、こんなに暑いところでどうしてこのようなことをなさるのかと、重ねて道元さまが聞くと、老和尚は「更に何れの時をか待たんと」、茸干しをするのは、今この暑い時じゃなきゃだめなんだ。

日がかげってからでは間に合わん、という。

「更に何れの時をか待たん」という返事はそういうことも含めて言ったに違いないのですが、お互いに自分達のことを考えてみても、そういうことになるでしょう。
今が一番いい時なのです。

人間は、そういう時を迂闊に過ごしすぎているのです。

後になって「あの時はよかった」なんて言うておる人がおる。

「あの時の感激がもういっぺん来んかしら」なんて言うが、そんなもの二へんきたら感激にもなんにもなりはしません。

今、ここが一番いい時なのです。それを逃し逃ししていくから、いつまでたってもほんとうのことがわからないで済んでしまうのです。

どんな時でも”今がその時”なのです。それをこの老僧が言ったのですね。

「佗は是れ吾にあらず」 「更に何れの時をか待たん」という言葉を聞いて、「山僧便ち休す」、道元さまも返す言葉がなくて黙ってしまったというのです。

そして典座という役が非常に大事な役だということがわかったというのです。」
と説いて下さっています。

とても簡明ですが大切な教えであり、禅の端的を示してくれています。

若き日の道元禅師も、こういう生きた教えに出会い、その教えを実践している人に出会って感動されたのでしょう。

こういう暮らしをしていれば、中性脂肪もコレステロールも心配もなくなることでしょう。

 
横田南嶺

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