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臨済宗大本山 円覚寺

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2022.06.11
今日の言葉

速いことはいいことか?

夏期講座の最終日には、中里貴子先生の朗読がございました。

最終日の一時限目は、私の『信心銘』の講義でありますが、中里先生も三時限目の本川先生も聴講してくださるという有り難いことでありました。

中里先生は、幸田弘子先生のご高弟でいらっしゃいます。

幸田先生は、女優であり、声優であり、朗読家でいらっしゃいました。

特に舞台朗読という新たな分野をきり開かれた先生でいらっしゃいます。

鎌倉には、鎌倉てらこやというNPO法人がございます。

この鎌倉てらこやの活動の一つに朗読があります。

毎月円覚寺の塔頭で朗読の稽古をして、年に一度円覚寺の本山で発表会を行っていたのでした。

この会に幸田先生は、毎年朗読を披露してくださっていました。

毎月のご指導は、中里先生が行ってくださっていたのでした。

コロナ禍でしばらくお休みしていたのですが、最近ようやく再開したのでした。

私と幸田先生との出会いは、この年に一度の発表会のときでした。

私は会場を提供している円覚寺の代表として開会の挨拶を頼まれていたのでした。

管長になった頃にはあまりよくわからなくて、幸田先生という方がどういう方かも存じ上げずに、開会の挨拶のついでに、朗読の会と聞いていましたので、坂村真民先生の詩の朗読をしたのでした。

あとでわかったのですが、その会場に幸田先生がいらっしゃったのでした。

朗読の大家の前で、朗読をするということをしていたのでした。

しかし、幸田先生はお心が広くて、私のつたない朗読をとても褒めてくださったのでした。

褒められると調子にのって、それから私は真民詩の朗読という新たな試みを行うようになりました。

また年に一度のてらこやの発表会には、坂村真民先生の詩だけでなく、芥川龍之介の短編などを朗読するようになったのでした。

そんなご恩のある幸田先生が、一昨年にお亡くなりになったのでした。

コロナ禍のこととて、お参りもできず申し訳のないことでした。

今年はその幸田先生のご高弟である中里先生が朗読をしてくださったのでした。

幸田先生のご息女三善さんが、幸田先生の遺影を抱いて、聞いてくださっていました。

中里先生は、お釈迦さまのご生涯を朗読してくださいました。

よく透る澄んだお声で、まるでお釈迦さまがこの場にいらっしゃるかのように感じられて、幸せな気持ちに浸ることができたのでした。

幸田先生の舞台朗読が確かに受け継がれていることを感じました。

その次には、東京工業大学名誉教授 本川達雄先生の『ゾウの時間・ネズミの時間・坐禅の時間』という題のご講義でありました。

本川先生のことは、ご著書『ゾウの時間 ネズミの時間』を拝読していたのですが、とても楽しい先生でいらっしゃいました。

またお話の中でも、熱心に坐禅もなさっていたということで親しみを覚えました。

控え室でどちらのお寺で坐禅をされていたのかうかがったのですが、曹洞宗の厳しいことで有名な道場で坐禅されていたということでした。

ですから、坐禅のこと、そして道元禅師のことにもお詳しかったのです。

はじめにこのコロナ禍ということに触れてお話くださいました。

なぜこんなに新型コロナウイルス感染症が蔓延したのか、ひとつは人間が密集して暮らしているからであります。

生物として哺乳類というのはどれくらいの密度で暮らすのがいいのかだいたい決まっているそうなのです。

それは体重によっても異なるのですが、体重六十キロの哺乳類ですと、一キロ平方メートルには1.4匹なのだそうです。

こう説明されてもピンときませんが、なんと東京ドーム十五箇の広さに一人いることになるというのです。

縄文時代の人口密度というのはそんなものだそうです。

今いうソーシャルディスタンスどころではないのです。

そう思うと、生きものとしては異常に密集しすぎなわけで、ウイルスもすぐに広まるのだとわかりました。

そして都会では時間が速く進んでいます。

なんでも速く、速くと、移動するのも、物を輸送するのも速く速くなりました。

自動車、電車、新幹線、速く速くなり、宅配便も速く速くなりました。

速くなると、ウイルスも速く広まるのは道理なのです。

生物の世界ではエネルギーを使うものほど亡びるのは速いのだそうで、生物としては速いことは決して幸せなことではないというのであります。

そこでゾウの時間、ネズミの時間なのですが、本川先生は時間を数えるものとして心拍数に注目されて、どの生物も一生の間に打つ心拍数は同じだというのです。

十五億回心臓が脈打つと生物は死ぬというのです。

十五億回打つのがネズミの場合は二年、ゾウの場合は七十年になるというのです。

ハツカネズミは0.1秒に一回、ゾウは3秒に一回の心拍数だそうなのです。

寿命の長さは違っても同じ心拍数なので、同じような生ききった感覚を持つのではないかということでした。

呼吸の回数もだいたい決まっているということなので、ゆっくり呼吸をすると長く生きることになります。

昔の人が長い息は、長生きに通じるというのはウソではないとわかりました。

それから一生の間に食べる量も仕事の量も決まっていると仰っていました。

仕事の量が決まっているということは、たくさん仕事をすると寿命が縮まることになります。

そう思うと、私などはもう一生分の仕事をしたのではないかと不安になって、先生にうかがったところ、例外もあるということで、管長は例外ですと言ってくださって少し安心しました。

なんでも速いのがいいとすり込まれているように思うのですが、生物としてはもっとゆったりと生きることが大事だと考えさせられたご講義でありました。

本川先生は、講義の最後に歌を披露してくださり、本当に楽しい先生でいらっしゃいました。

かくして今年の夏期講座も無事終えることができました。

会場には三宝会という円覚寺護持会の方のみ入っていただきました。

そこで一般の方はオンラインでの聴講のみとなってしまったのでした。

オンラインですとどうしても聴講の方が少なくなってしまって、どの講義もすばらしかったので残念でした。

三宝会というのはどなたでも入会可能なのですが、まだ円覚寺では入会の申し込みについてホームページなどでは全く記載がないので、どうしたら入会できるのかわかりにくい状態であります。

なんとか広く知ってもらえるように努力してまいります。

 
横田南嶺

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