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臨済宗大本山 円覚寺

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2021.05.18
今日の言葉

マインドフルネス

臨済宗建長寺派の僧でもあり、精神科医でもある川野泰周さんにお越しいただいて、マインドフルネスの講義をお願いしました。

ここ数年来、毎年お願いして講義してもらっています。

マインドフルネスに対して、禅のお坊さんは、嫌う方もいらっしゃいます。

たしかに、マインドフルネスというのは、そもそもが、ジョン・カバット・ジン先生によって考案されたものであり、「マインドフルネス・ストレス軽減法」というように、実際にストレスを軽減させるという効果を求めているところがあります。

もっとも、ジョン・カバット・ジン先生は、最初痛みを軽減させる為に考案されたのだと教わりました。

禅は、それに対して「無功徳」だ、そんな功用を求める坐禅などは、邪道だという意見であります。

更に坐禅は、身心共に健康な者が、向上を目指して行うものだという立場であります。
これも、ごもっともであります。

そのような立場を否定するつもりはありません。

しかしながら、実際に、苦しんでいる方がいて、お役に立つのであれば、何なりと手を差し伸べてあげたいというのが、人間の真情でもあります。

身心健康な者が行う坐禅も結構でありますが、お互いに大なり小なり、精神的にどこか問題を抱えていると私は思っています。

それから、人間はどうしても、自分の体験だけが真実であり、他人に対しても自分の体験が通じると思ってしまいがちであります。

ことに禅は体験を重んじる教えですので、この傾向が強いと思います。

ところが、「体験主義の限界」とも言われますように、自分の体験がすべてに通じる訳では決してありません。

多くの人が、今どのような心の病を抱いているのかを学び、それに対して、禅の教えがどのように役立つことができるのかを学ぶことは決して無駄ではありません。

特に今の時代には、頭ごなしに、何も求めずに坐れというよりも、自分たちの坐禅がどのような意味があるのか、どのような素晴らしさを秘めているのか、どんな可能性を持っているのかを学ぶことは、坐禅に対する意欲を一層強めてくれるものです。

といいますのは、修行道場に修行に来る僧の場合、はじめから坐禅をしたい、禅を求めたい、禅を究めたいと思ってくる者ばかりではないのです。

お寺に生まれて、跡継ぎの為の務めとして、修行に来る者も多いのが実情です。

そもそも坐禅をしたいから来ているのではないのです。

それには、まず坐禅の素晴らしさから教えないと、ただ単に我慢してジッとしているだけになってしまうのです。

川野さんのご講義を私も何度も伺っていますが、毎回学ぶことがたくさんあります。

今回の講義で、川野さんは、マインドフルネスで大切なことは、「自分自身に思いやりを向けることだ」と明言されました。

長年僧として、或いは精神科医として、多くの方々に接してきた今、川野さんが最も伝えたいことはこのことなのだろうと察しました。

川野さんの仰せでは、今コロナ禍にあって精神科医を訪れる方が増えているそうです。

そして悲しい事にお若い人が自ら命を絶つことも増えているのだそうです。

私のように、コロナ禍になって予定が消えて、暇になったというのでは申し訳ないのであります。

川野さんは、そんな厳しい現場を見つめて、自らに思いやりをと説かれているのだと強く感じました。

私たち修行僧の為の講座でありましたので、マインドフルネスは、お釈迦様の説かれた八正道の中の「正念」に相当すること、そして白隠禅師の「正念工夫」のことも説いてくださいました。

白隠禅師の

「正念工夫こそ、この世にて浄土を発見し、仏となる方法であり、浄土に生まれている仏なるわが身を悟ることこそ、人生で第一に決定すべき重要なことであると知るべきであります。

すべては、観念にしたがって創られるものであります。

妄念と正念によって生ずる地獄と極楽とを知るべきであります。」(『白隠禅師―健康法と逸話』より)

という言葉を紹介してくれました。

なんといっても白隠禅師が身心を病んでいる者の為に説かれているのであります。
最後に、川野さんは、自分自身への思いやりの大切を説いてくださいました。

日本人の自己肯定感というのは、先進国では最も低いのだそうです。

思いやりが足らないことから、いじめも引きこもりも起こるのだということを説明してくれました。

相手の気持ちを配慮することのできない子供が、攻撃や無慈悲な行動をとるのがいじめであり、自分の価値を認められない子供が、周囲からの疎外感や劣等感にさいなまされて、引きこもりになるのだということでした。

ともに原因は思いやりの心が十分でないことなのです。

自慈心と自尊心についても説明がありました。

自尊心というのは、他者からの評価によって成り立つものにたいして、自慈心は、他者の視点抜きでも成り立つものであり、賞賛にも批判にも揺らぐことなく受容できるものだというのであります。

そこで川野さんは、現代に最も必要とされる瞑想は、セルフ・コンパッションを涵養する瞑想だと説いてくれたのでした。

このことは、最近の川野さんの実感だと受けとめました。

最後には、慈悲の瞑想を実践してくださいました。

この慈悲の瞑想は、最近川野さんが始められたというYouTubeでも公開されています。

あなたが安全でありますように
あなたが幸せでありますように
あなたが健康でありますように
あなたが心安らかでありますように

と自分にとって最も大切な人に対してこのような思いを向けるのです。

そして、更に自分自身に対しても

安全でありますように、幸せでありますように、健康でありますように、心安らかでありますようにと念じるのであります。

藤田一照さん、佐々木奘堂さん、そして川野泰周さんといろいろな方に学ぶのですが、どの方も、明るく親切で、熱意にあふれていて、その素晴らしい人格に触れることが一番の学びになります。

 
横田南嶺

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