今日の言葉
三浦の大根
僧堂で毎日いただいている沢庵漬けは、三浦の大根を漬けているものです。
三浦地方に円覚寺派のお寺が二ヶ寺あって、毎年そのお寺にお願いして、お檀家さんや信者さんのお宅を一件一件托鉢してお参りして、大根を頂戴してくるのです。
大根の托鉢なので、大根鉢(だいこんはつ)と喚んでいます。
寒い時に托鉢にゆくのですが、三浦地方は、なんとなく暖かく感じられるのでした。
私の修行僧時代に何度も訪れたものでした。
その大根が、今年はできすぎてしまって、困っているというのです。
三浦地方は、広い、広い土地一面に大根が育っているところです。
ハウス栽培などとは違って、天候の影響を大きく受けます。
今年の秋は、幸い好天に恵まれて良かったらしいのですが、豊作で取れすぎると値段が下がってしまいます。
下がりすぎると、出荷しても赤字になるのです。
そうなると大量廃棄せざるを得なくなってしまいます。
豊作に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外食控えで需要が減少し、供給過多に拍車をかけているというのでした。
新聞の写真は、十二月十九日の毎日新聞夕刊の一面であります。
毎年お世話になるところでありますので、報道を見て胸が痛みます。
気候不順であまり取れない年もあるのですが、取れすぎても困り、そこにコロナが追い打ちをかけたのであります。
いろんなところで苦しんでいる人がいるのです。
何とか早く収束して穏やかになって欲しいと願うばかりであります。
横田南嶺