一口法話
【一口法話】第二十一回 釈宗演老師を語る「観音さまの心」
釈宗演老師の百年諱を務めた時に、記念出版として、宗演老師の『観音経講話』を復刊したのでした。
宗演老師の数ある書籍の中でも、私が是非とも復刊したいとかねてより思っていたものでした。
禅宗では、観音経をよく読みます。
しかし、観音さまの名を唱えれば、火の中水の中でも救われるという教えと、自らをより所とする禅の教えとが、どう結びつくのか、私には長い間疑問でありました。
その解決を宗演老師の『観音経講話』で得ることができました。
観音さまとは、私たちの本心のことであって、それは、大慈悲心、大智慧、大勇猛心なのです。
私たちはみな元来観音さまです。
大慈悲、大智慧、大勇猛心を具えているのです。
そう念じることによって、怒りや憎しみに火も焼かれず、貪欲の水に溺れることがなくなるのです。
そして、その智慧と慈悲と勇猛心の三つを存分に発揮されたのが、宗演老師その人だったのだと思うのであります。
お手すきの際にご覧くださいませ。
横田南嶺