小池陽人さん来る
今や人気となっているYouTube対談をお願いしたのでした。
小池さんは、1986年生まれの34歳でいらっしゃいます。
お若いのですが、YouTubeでの法話がとても人気があって、私も小池さんの法話から随分といろいろ勉強させてもらっています。
ご存じでない方は、一度是非聴いてみてください。
「真の自己に目覚める」という法話などは素晴らしいものです。
円覚寺のYouTubeチャンネルは、3500人ほど登録してくださっていますが、小池さんのは、2万6千人ですから、桁が違うのです。
なぜ人気なのかご覧いただくと分かります。
謙虚で穏やかで、内容が分かりやすく、それでいて真剣にお話になっていて、聴いてると伝わるものがあります。
今年に初の著書も出されています。これも分かりやすく親しみやすい仏教書であります。
タイトルは『しんどい心の処方箋』、こちらもお勧めです。
須磨寺というお寺は、真言宗須磨寺派の本山であります。
そのお寺の副住職ですから、次期管長になられるお立場です。
ところが、もともとは八王子の一般家庭の生まれ育ちました。
小池さんの祖父が、須磨寺の前管長でいらっしゃいました。
小池さんのお母さまは、その前管長のご息女なのです。
それが須磨寺の跡取りになる決意をされ、厳しい修行を経て副住職に就任して、今に到ります。
対談では、幼少の頃の思い出から始まって、どういう経緯で須磨寺に入る決意をなされたか、修行時代の話などからうかがいました。
一般の家庭に生まれ育ち、サッカー少年であり、学生時代にはバンドに夢中になっていたそうです。極めて普通の青年です。
私などのように子どもの頃から坐禅していたという「変人」とは違います。
それだけに、何も知らずに修行の世界に入って苦労なさったとのことでした。
私も他宗の修行については全く存じ上げませんので、とても興味深く拝聴しました。
禅宗の修行というのはただ坐るだけですが、小池さんは真言宗でも醍醐寺で御修行され、修験も修められのです。
滝行や火渡りなど、私などが想像を絶する荒行の話をしていただきました。
それから更に四国八十八カ所霊場を歩いて回られたそうです。
その間に出逢った人たちとのお話も素晴らしいものでした。
聴いていて、その遍路の途中で出逢った方々がまさに弘法大師なんだなと深く感銘を受けました。
対談していても、とにかくお話がお上手で、純粋な眼でこちらを見つめて話してくださりましたので、こちらも引き込まれるように聞き入りました。
そして須磨寺の副住職という既に安定した立場にありながら、今から三年ほどまえにYouTube法話を始められたのです。
そのきっかけなどうかがいました。
それから、私が注目したのは、このたびのコロナ禍にあって緊急事態宣言が出されている間、小池さんはなんと、毎日YouTube法話をなさっていたのです。
私はその頃から小池さんに注目しており、私よりもお若いのに優れた方がいらっしゃるなと思っていました。
その小池さんが、なんとまた、私のYouTubeをご覧になって、細川晋輔さんとの対談に関心を持たれて、まず細川さんとご縁ができたそうです。
細川さんから、私に「小池陽人さんって知っていますか」と聞かれて、私も「今注目している方です」と申し上げたところ、話が進んでこのたびの対談となりました。
二時間少々お話をうかがいました。
なんといっても純粋で爽やかな小池さんのお人柄に感銘を受けました。
横田南嶺