今日の出来事
釈宗演老師のご命日
十一月一日は、釈宗演老師のご命日であります。
朝の内に、僧堂で命日のお勤めを済ませました。
大正八年の十一月一日にお亡くなりになっています。
宗演老師は、「楞伽窟(りょうがくつ)」という号をお持ちでしたので、僧堂ではこのご命日は「楞伽忌(りょうがき)」と称しています。
ちょうど六十歳でお亡くなりになったのでした。
私もだんだんと宗演老師のお亡くなりになった年に近づきつつあります。
しかしながら、宗演老師のご功績には比べるべくもありません。
ろくろく一事もなす事無く日を過ごすのみなのです。
例年は、一日の命日に、宗演老師を埋葬されている東慶寺にお墓参りにゆくのですが、今年の十一月一日は日曜日で、東慶寺様もお忙しいであろうし、また人混みになるであろうと思って、前日の三十一日にお参りしてきました。
ご迷惑にならぬように、こっそりお参りして帰るつもりが、宗演老師のお墓に参ると、ちょうどお寺の奥様がお花を活けていらっしゃるところでした。
読経のあと、書院でお抹茶をいただきました。
書院の床の間には、宗演老師が若き前田青邨画伯に書いて与えたという書、「画禅入三昧」の一幅。
お花も奥様がお生けになったのでしょう、実に秋を感じさせる品のいいお花でありました。
さすが東慶寺様と思わせるおもてなしにあずかりました。
実に有り難い秋の一日でありました。
横田南嶺