ウイルスの恐怖
山内先生は、NHKのこころの時代でもお話になっていた方であります。
記事によれば、
「まずはウイルスの歴史を振り返る。地球が46億年前に誕生後、ウイルスは30億年前に地上に現れ、現生人類の登場はずっと後の20万年前とされる。
地球誕生から現在までを1年間に例えると、ウイルスは5月に生まれ、人類の誕生は12月31日の年明け約20分前になる」
というのだそうです。
ついつい、私たちは、自分たちがこの地球の主で、ウイルスという厄介なものが現れてきたように思いがちですが、決してそうではないのです。
そこで、山内先生は、
「地球ではウイルスが先住者で、その世界に人間が入っていった。 ウイルスにとって人間は特別な存在ではなく、単なる動物の一種だ」
ということなのです。
新型コロナなど、国際的に公衆衛生上の問題となる新たな感染症を「新興感染症」と呼ぶのだそうです。
その多くは、野生動物を「自然宿主」としてすみかにしているウイルスが、人間に感染して発症します。
記事によれば、マールブルク病、ラッサ熱、エボラ熱、ニパウイルス脳炎、西ナイル熱、SARS、MERSなどありますが、ラッサ熱と西ナイル熱以外は、コウモリが自然宿主となっているそうです。
コウモリは過密な環境で生息し、二十年以上も生きる個体もあってウイルスのキャリアーとしての特性を備えているのだそうです。
このような新興感染症は20世紀後半以降、続々と人間社会に出現してきたのでした。
「第二次世界大戦後、人口増加、森林破壊、都市化で人間がどんどん野生動物の生息地域に入っていき感染した。
航空網の発達で感染はあっという間に世界に広がる。こういったことがウイルスのグローバリゼーションを引き起こしています」
と山内先生は語っておられました。
人類がこれまで根絶に成功したウイルスは、天然痘と牛痘なのみだそうで、自然界には天文学的なウイルスがいるのだそうで、人間とは共存していることを認識することが大事だそうです。
ワクチンの開発が待たれるところですが、山内先生は、
「ワクチンは予想外のリスクにつながる可能性がある。冷静に判断しながら進めていく必要がある」というのです。
では、新型コロナウイルスは今後どうなっていくのかというと、山内先生は、
「これまでの新興感染症は、みな収束しています。いつかは分からないが、新型コロナもいずれ収束します」ということなのです。
この「いつか」ということを知りたいところなのですが、自然界が相手では人間の都合のよい様にはゆかないのでしょう。
こちらが新参者ですから、謙虚に待つことでありましょう。
さて、十一月に入って、だんだん世の中も動いているようです。
例年の宝物風入れは中止にしていますが、舎利殿拝観は行います。
御朱印も受け付けるようであります。
手指の消毒、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保など基本に忠実に行うしかありません。
御朱印も私などは、まだ無理しなくてもと思うのですが、私が只今YouTubeでの動画配信など行っていて、これらすべて経費のかかるもので何とか収入もあげないと、という事務方の熱い思いであります。
また一日から三日の間に、坐禅会と法話も方丈で行われます。
法話は、我が円覚寺派が誇る布教師で、只今円覚寺派教学部長の要職にある松原行樹和尚が担当してくださいます。
松原行樹和尚は、松原泰道先生の御孫であって、泰道先生の素晴らしい法話の遺伝子を受け継いでおられ、拝聴していると泰道先生の在りし日のお姿がしのばれます。
皆さまには是非とも拝聴してもらいたいと願います。
横田南嶺