小川隆先生と対談
小川先生のことは、小欄でも何度もご紹介させていただいています。
『語録の思想史』、『語録のことば』、『禅思想史講義』、『中国禅宗史』などたくさんのご著書がございます。
私は、五年ほど前から、東京の湯島の麟祥院で、小川先生を講師にお願いして、『臨済録』の講義をしていただき、毎月一度先生のご講義を拝聴してきました。
毎回明快なご講義で、楽しく学ばせていただいています。
おかげで、私のように長い間修行の世界にしかいない者にも、少しは思想や語録の読み方が分かるようになってきました。
ところが、ご承知のコロナ禍にあって、その勉強会も今年は二月に開いて以来休会が続いています。
久しぶりに先生に対談をお願いしてお目にかかることができました。
対談では、先生のこれまでの歩み、コロナ禍に思うこと、これからの抱負などをうかがいました。
特に、先生が高校時代、自ら「落ちこぼれ」だったと語られたのには、驚きました。
全く授業についてゆけない「落ちこぼれ」だったと仰る先生が、どのようなご縁があって、今日の大学者になられたのか、語って下さいました。
あのような大先生にも、こういう思いをされていた過去があったのかと改めて知ることができました。
先生のあの明快なご講義は、ご自身苦労された体験があるので、誰にでも分かる様に解説しようと努力されているからなのだと思ったのでした。
先生もまた、いろんな素晴らしい方との出合いによって、道が開かれてきたのでした。
そんな様々な思いをうかがうことができました。
楽しく語られる先生のお話を聴いていると、生きる希望が湧いてきます。
是非ともご覧いただきたいと願います。
全六回までございます。
横田南嶺