TA
毎月滋賀県の高校教師をなさっている方から、『虹天』という冊子を送っていただいています。
毎月勉強会を行って、その講演録を冊子にしてくださっているのです。
教師のお仕事だけでもたいへんだと思いますが、毎月のご努力には頭のさがる思いです。
教育関係の講師の方が多いのですが、毎月いろんな先生のご講義を誌面で学ぶことができるので、私も毎月楽しみに拝読しています。
今月は、「TAの目指す自律とは」という演題で、高校教師の吉田武史先生の講演録でありました。
吉田先生には一度お目にかかったことがあり、その折りに「TA」という言葉をうかがっていました。
実際に、TAというのがどういうものなのか、私にはまだ十分に分かっていません。
日本語では、交流分析といって、アメリカの精神科医エリック・バーンという方によって、一九五〇年に提唱されたそうです。
吉田先生の講演録によれば、TAの目的は何か、どのようなことができるのかについて、
「明快なコミュニケーションに役立つ、非生産的な人間関係の摩擦を防ぐことができる、マネージメントやコミュニケーションの訓練に適している」
と説かれています。
しかし誤解されやすいのは、
「TAは人の分析をするわけですが、それを他人の人格的な判断の材料にしている人がいるということ」
だというのです。
吉田先生は、「TAの目的は決して相手を分析すること」ではなく、「相手の目に映っている自分を知る」ということで、「自分を知って人間関係をよりよくしてゆく」ことが目的なのだそうです。
人の悩みの九十パーセントは人間関係だと言われます。
吉田先生は、「人の幸せの九九パーセントも人間関係にある」と仰せになっています。
ですから「人間関係をしっかり構築し、整理して悩みを解決していくことが幸せにつながる」というのです。
そして、TAの目指す自律というのは、今ここでの行動、思考、感情のコントロールをすることだそうです。
行動、思考、感情という順番にコントロールするというのです。
感情を変えるのは難しいのです。
坐禅では、身体を調え、呼吸を調え、そして心を調えると説きます様に、まず身体からということなのでしょう。
そのように心をコントロールするのは容易ではありません。
吉田先生は、
「自分を変化させるには、とにかく気づくということが大事です。気づいて行動を変え、思考を変え、感情を変えていく」
ことだと説かれていました。
「このままではいけない、違った行動をしてみよう」と気づくことが大事なのです。
今は、コロナ禍という時にあって、いろんな方面でも変化の時だと思います。
今までのやり方とは違った方法もあると工夫することが必要になってきます。
変化も、良い方に変化をしたいものです。
お互いの人間関係がよくなるような変化はないかと考えることが大事であります。
私の信条は、「変化を楽しむ」ことです。
TAのことについては、十分に理解出来ていませんが、とにかくいろいろと学び、そこから何か参考になることを取り入れていきたいと思って学んでいます。
横田南嶺