心がけていること
私は、なんといっても、藤田一照さんと、ALS患者である創発計画株式会社代表取締役の高野元さんとの対談に注目して学ぶことが多かったと話をしました。
昨日紹介したのは、高野さんから藤田さんへの質問した。
不動性ということ、サポートを受けるということ、そしてあることについて、それぞれ藤田さんの深い考察を学ぶことができました。
私がもう一つ感銘を受けたことは、高野さんが普段から心がけていることでした。
心がけていることを次の五つあげておられました。
第一は、こころの声に従うこと。
ありのままの自分を肯定して、過去の自分や他人と比べないこと。
比べると、こころの声が聞こえなくなると言います。
第二は、仲間やつながりを増やすこと。
やりたいことは口に出し。周りの人たちと対等な関係でいること。
第三には、チャレンジを歓迎すること。
失敗を恐れず、できる理由を探して作ること。
第四には、あらゆることに感謝すること。
感謝し、感謝され、恩返しよりも恩送りをすること。
第五には、いつも上機嫌でいること。
上機嫌は、いいことがあっての結果だと思われますが、態度だと言います。苦しくても先に笑う、カラ元気が幸運を呼ぶというものです。
この五つには、なるほどと思いました。
重い病に罹って、身体が動かなくなるということは、私などには想像を絶することです。
絶望もされたことでしょうし、そしてどこかで病を受け容れて、生きてゆこうと決意をされたのだろうと察します。
高野さんは、今も会社の代表を務めてられますし、対談の時のパワーポイント資料などもご自身で作成され、また目でパソコンのキーボードを操作して、音声化して講演もなさっているというのです。
実に活動的でいらっしゃいます。
特に最後の、いつも上機嫌でいることというのは、深い内容であります。
なにか良いことがあって上機嫌になるのではなくて、どんな時にも上機嫌でいるというのです。
苦しくても先に笑うのだと言われたのには、恐れ入りました。
微笑みは幸福をもたらすのだと、分かっていても実践は難しいものです。
前野先生やスタッフの方々に、私が、高野さんの心がけていることが素晴らしく、感銘を受けたと話をすると、前野先生は即座に、ご自身で研究されている幸せの四つの因子と全く同じだと仰っていました。
前野先生の説かれる一つ目の因子は、「やってみよう!」因子。
なんでもやってみようと思う事で、これは高野さんの心がけていることの、第三のチャレンジを歓迎することにあたります。
第二の因子は「ありがとう!」因子で、これは高野さんの心がけていることの第四番目、あらゆることに感謝することそのものです。
第三の因子は「なんとかなる!」因子で、これは高野さんの心がけていることの第五番目のいつも上機嫌でいること、楽天的なことに通じます。。
四つ目の因子は、本来の自分をよくわかっていて自分らしくふるまう「ありのまま!」因子で、これは高野さんの心がけていることの第一番目の心の声に従うことに通じます。
重い病を通じて得られた世界が、前野先生の研究された幸せの法則と一致していることも実に興味深く思われ、こういう事を私たちも心がけたいものであります。
毎日心がけていることが、お互いの人生を作ってゆくのです。
横田南嶺