ほろ酔い勉強会「人生百年時代をどう生きるか」を終えて
ほろ酔い勉強会は、諏訪中央病院の鎌田實先生がおはじめになった勉強会で、はじめのころは、夜に文字通り一杯酌み交わしながら、「ほろ酔い」で勉強していたそうなのです。
昨年の九月に、漢方医の桜井竜生先生と私とで、そのほろ酔い勉強会にお招きいただいたのでした。
もっとも、今は昼間に行われていて、一杯飲むことも無く、「ほろ酔い」ではないのですが、名前だけが残っているのです。
昨年は、
「怖くない死を迎えるために」~禅僧と漢方医と住民と病院職員で考える終活講座~
というテーマでした。
それが好評だったらしく、今年もお招きいただきました。
今年は、どう死ぬかの前に、どう生きるかの方が大事ではないかということで、「人生百年時代をどう生きるか」というテーマになったのでした。
諏訪中央病院の方々は、院長先生はじめ職員の皆さまとてもあたたかく迎えてくれて、茅野の空気もきれいで、諏訪にうかがうことを楽しみにしていたのですが、残念ながら、新型コロナウイルスの影響で、今年はリモートでの講座となってしまいました。
人生百年というと、やはり長生きできていいなと思います。
百歳まで長生きできれば幸せだろうと私などは思い込んでいました。
しかし、今回の講座で桜井先生のお話を聴いて考えさせられました。
漢方医の桜井先生は、大勢の高齢者の方々を診察されています。百歳の方も多くいらっしゃるそうです。
なんと、桜井先生は、「長生きしてよかったという百歳以上の人はいない」とおっしゃったのでした。
それはなぜかというと、「友達が死んでいくから孤独」「電話も出られない」「コミュニケーションが友人ととれない」とか、「子どもが死んでいくことを体験するのが辛い」ということがあるそうなのです。
松原泰道先生のように、「生涯修行、臨終停年」という方は稀なのでしょう。
松原泰道先生は、百一歳でお亡くなりになる年に、『日本人への遺言』という書物を遺されています。
その本のはじめに、
「生きる意味とは何なのか?
よくそんな質問をされますが、
答えは簡単です。
すべては他(ひと)のため、
自分のためではありません。
人は他の役に立つことを
目的に生まれてきたのです。
自信を持ってください。
あなたはきっと誰かの役に立ちます」
と書かれています。
松原先生は、そんな思いで、お亡くなりになる前まで、勉強に励みお説法を続けておられたのでしょう。
しかし、そのようなことをできる方は実際には稀でしょう。
役に立つといっても色んな事があります。
ベッドで寝ていても、周りの人に微笑むことで、安らぎを与えてあげることができるでしょう。
やさしい言葉をかけるだけでも、お役に立つこともあるでしょう。
穏やかな表情をしているだけでも、何か力を与えて上げることもできるでしょう。
それから、周りの者も、そのお年寄りの方が、生きてくださっていることが、自分たちの暮らしの支えになっているのだということを伝えてあげることも大事でしょう。
幸せで長生きするには、やはり本人もその周囲の者も努力することが必要なのだと学ばせてもらいました。
横田南嶺