お寺で対談 – 藤田一照さん –
曹洞宗僧侶である一照さんは、禅の世界では著名な方でいらっしゃいます。
あまり高名な方はお呼びせずに、これからの活躍を期待するような方と対談したいと思って始めたのですが、例外もあるものであります。
あの一照さんが、初めて坐禅をしたのが、なんと円覚寺の居士林でありました。
まだ足立大進老師が、管長になられて間もない頃で、老師も五十歳になっていない頃かと思います。
一照さんが参加されたのは円覚寺の学生坐禅会でした。
当時、学生坐禅会というのが、円覚寺では盛んに行われていました。
一年に四回ほど、居士林に四日から五日泊まって坐禅をするのです。
早稲田大学や学習院大学、一橋大学などにそれぞれ学生の坐禅会があって、その方たちが幹事となり、自分たちで企画し、ご飯も炊いて行っているものでした。
もう今は完全に無くなってしまいましたが、修行道場の摂心をそのまま居士林で行うような厳しい修行でした。
いきなり初めてその坐禅会に参加されのたですから、さすがの一照さんも、毎日上から目線で怒鳴られて、足は痛いしお腹は減るしで、なんでこんなところに来たのかと後悔されそうです。
しかし、二日三日と経つうちに段々と心境が変化して、とうとうその次の坐禅会もその次の坐禅会もと連続して通うようになりました。
どんなご縁で円覚寺居士林に来たのか、心境はどのように変化していったのか、そこから更にどうして出家に到ったのか、私が聞き手となって根掘り葉掘り尋ねています。
一照さんのお話から、禅の修行の意味が分かってくるように感じました。
是非ともご視聴願います。
横田南嶺