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臨済宗大本山 円覚寺

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2020.07.14
今日の言葉

夏秋さん

京都の南禅寺から、季刊誌『南禅』を送っていただきました。

巻頭には、この四月から南禅寺の管長に就任された田中寛洲老師が、ご自身の生い立ちから修行にいたるまでの体験談を書かれています。

田中寛洲老師は、建仁寺僧堂の大先輩で、私はこの老師の御修行時代から、多くの薫陶を受けて参りました。

心から尊敬申し上げる老大師であります。

大本山南禅寺にご晋住なされたことは我が宗門の大慶事であります。

さて、その冊子の中に、夏秋さんの文章が載っていました。

「身近にある仏法」という題です。

夏秋さんというのは人名であります。

夏秋尚孝和尚、南禅寺派の布教師であります。

私も懇意にさせていただいている若手の布教師です。

私の勉強会に参加して下さったり、私の法話会にもお越し下さったりと、とても熱心な好青年であります。

「ああ、夏秋さんが書いている、どんな内容かな」と思って早速拝読し、深く感銘を受けました。

夏秋さんは、この度のコロナ禍で諸行事が中止となる中、『葉隠』を読み直されたそうです。

そしてその中の有名な言葉、「武士道とは死ぬことと見つけたり」の意味を、自己中心の考え方「我」を捨てることだと解説されています。

そこから諸法無我について説き進めていました。

「何一つとして独立して存在するもの(我)はないということであり、つまり自分一人で生きているということはなく、全てのものは互いにご縁で結ばれていて、生かし、生かされているということだ」

と分かりやすく説いてくれていました。

それは、

「自分と他人との垣根、境界を無くすことで、苦しみから離れた、安らかな心地になることができる」

と説いています。

そして、熊本震災で被災された牧場主の方の話を紹介されています。

その方の乳製品は人気で物産展ではあっという間に完売する程で、震災前までは順風満帆だったそうです。

しかし震災で道路は寸断、孤立してしまうことになってしまいました。

牛乳を出荷出来なくなり、保存しようにもタンクは満杯、それでも搾らなければ牛が病気になってしまうし、

「出荷も保存も出来ず、捨てなければならない悲しみ、牛への罪悪感は非常に辛いものだったそうです」と書かれています。

それまで、その方は、

「自分が牧場を運営し、牛や従業員を生かしているのだと思っていた。集客力のある物産展を開けるのも私が居てこそだと思っていた。」

のだそうです。

それが震災に遭って、自分一人では何もできない、「無力さを思い知った」のでした。

「そうして苦しみ喘いでいた時、共に動いてくれた従業員、

「大丈夫ですか?手助けできることはありますか?」と心配し連絡してくれる友人や業者の方々、

変わらず牧草を生やしてくれる大地やそれを食べ、牛乳を生み出してくれる牛。

自分は決して一人で生きているのではないことに改めて気付かされた」

と書かれています。

そして「周りの人や牛、自然への感謝を忘れていた。お互いが生かし、生かされていることを忘れていた」と気がつくことができたのです。

「道路が直り、物資を届けてくれた方、タンクローリーで牛乳を出荷してくれた方、

美味しいと食べてくれるお客の皆さん、そして共に生産してくれる従業員や牛、

自然に対し、ただただ有り難いという感謝しかなかった。

その感謝の心、生かし生かされているという思いが、傲慢な態度を改めるきっかけになった。

そして牛乳を捨てなければならなかった悲しみ、罪悪感で苦しんでいた自分を救ってくれた」

という話なのでした。

読んでいて私も感動しました。

その通り一人では何もできなかったのでした。

それがいつの間にか「オレが頑張っている」と思い込んでしまうのです。

そこで夏秋さんは、

「自分一人が救われようとしたり、自分の力のみで解決しようとしては、苦しみから逃れるどころか新たな苦しみを生み出してしまいます。

そういった苦しみから誰かを救い、己も救われる為には、「諸法無我」に気づき、己と周りとの境目をなくすことが大切です」

と説いて下さっています。

しばらく夏秋さんにお目にかかっていないのですが、夏秋さんの玉稿を拝読して、爽やかな気持ちになることができました。

夏秋さんのこれからのご活躍を大いに期待しています。

 

横田南嶺

夏秋さん

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