朝早く、あまりにも突然なので、驚きました。

ちょうど、二人の対談本ができあがったので、お越しくださったのでしょう。

仙台から車で来たというのです。

それは大変だったでしょうと申し上げると、

「いや、車に乗って、ハンドルを持って、足でアクセル、ブレーキを踏んでいるだけですから。

回峰行のように自分で走るわけではないので、楽なものです」

とのこと。

それは、千日回峰行に比べると、この世のことのほとんどはたいしたことはないとなるのでしょう。

過酷な行を体験していると、そういう利点もあるのだと思いました。

もっとも、今NHKの番組を作成している最中とかで、その関係で上京されたようでした。

それにしても、わざわざ鎌倉までご足労いただくのは、恐れ入りました。

サッと、まるで一陣の風のようにやってこられ、サッと、風のように帰ってゆかれました。

爽やかな阿闍梨さまであります。

 
横田南嶺