何かと思って見ると、なんと大きな蛇でした。1メートルくらいのアオダイショウでした。

円覚寺は崖が多いので、崖から蛇が落ちることがあります。

崖から落ちて屋根にいたのが、更にその屋根から落ちたのではないかと思いました。

蛇もいったい何が起きたのか分からないかのように、じっとたたずんでいました。

私も、じっと蛇を見ていました。

蛇も、脳しんとうのような状態だったのか、呆然としています。

私も、その蛇を見て呆然としていました。

何の意味もない時間が過ぎてゆきました。

ただ、それだけです。

こんな意味のない時間があるということが、豊かさだと感じたのでした。

横田南嶺