知人から毎月送っていただいている冊子に、『101人の、泣いて、笑って、たった一言物語。』（志賀内 泰弘著 ごま書房新社）という本からの引用がありました。

そのなかに、いろんな一言が紹介されているのですが、

「学校なんか行かなくてもいい
　呼吸だけはしていなさい」

という言葉が目にとまりました。

命は呼吸、呼吸こそ命と受けとめてる私にとっては、とても興味ある言葉でした。

内容を読んでみると、

中学生の時に、いじめにあって自殺を図ることもあったという方の話です。

いじめのことをなかなか親に言い出せなかったらしいのですが、ようやく打ち明けて学校に通うことができないと母に言ったそうです。

そのときに、そのお母さんが、

「学校なんか行かなくてもいい
　呼吸だけはしていなさい」

といって、抱きしめてくれたというのです。

私も、わずか数行の文章を読んだだけで目頭が熱くなり、涙がにじみました。

幸いにその方は、今社会人となってられるそうです。

そして今もどんな辛いことがあっても

「呼吸だけはしていよう。そして明日もまた強く生きていくんだ」

と思って立ち直るようにしているという話でした。

いろいろのことがありますけれども、

呼吸だけしていればいいんだと

時には思ってみることもいいでしょう。

坐禅とは、その呼吸だけをしている営みなのです。

横田南嶺