いつも喜んで、絶えず祈り、すべてに感謝
さいわいに禅語はたくさんありますので、まだ種が切れることはありません。
毎月の連載で楽しみに拝読しているのが、聖心会シスターの鈴木秀子先生の記事であります。
「人生を照らす言葉」という連載で、こちらはもう百二十回を超えていらっしゃいます。
毎月、古今東西の文学作品を選んで珠玉の言葉を紹介してくださっています。
またそれに対する鈴木先生の解説も素晴らしいものであります。
今月号には、内村鑑三の『寒中の木の芽』という作品を紹介されています。
その一番最後の鈴木先生のお言葉に感銘を受けました。
以下一部を引用させていただきます。
「『新約聖書』の「テサロニケ人への第一の手紙」に次の言葉があります。
「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい」
喜びというと、何か特別の出来事のように思ってしまいますが、
そうではありません。
おいしく食事ができることや健康に活動できること、
家族がいてくれること、さらに言えば命が与えられていること、
そのこと自体が喜びなのです。
……
日々の小さな出来事にも喜びを発見し、
またそのことに感謝して生きる。
喜びや祈り、感謝を習慣化していくと、
心が静まり、突然の事態にも動じなくなっていきます。
いつか、この危機が過ぎ去った時に、
自分が深められ成長できていることに気づくでしょう」
こういうあたたかく、親切なお言葉というのは、我々禅僧にはとてもまねができません。
本当に心に染み入る言葉です。
大きな力をいただくことができます。
鈴木先生とは懇意にさせていただいていますが、
思えばいつお目にかかっても、
笑顔で喜びをたたえていらっしゃいます。
そして祈りの人という雰囲気を常にお持ちであります。
更に絶えず感謝の言葉を口になされています。
鈴木先生にはすっかり習慣化され身についていらっしゃるのでした。
いつも喜び、絶えず祈り、すべてに感謝、
私もこれを習慣にするよう努力しようと思います。
横田南嶺