今日の言葉
当たり前ではない「当たり前」
毎日新聞のみんなの広場に、中学一年生の男子が投稿されていました。
その題が、
「当たり前ではない「当たり前」」
というのです。
小学校生活最後の時間を友達と過ごすことができなくなったことを書かれています。
休校になる十日ほど前にインフルエンザにかかり、次の週には学校に行けると思っていたところ、
新型コロナウイルス感染拡大防止の為に休校になってしまいました。
そこで、当たり前に生活していたことが、どれだけ素敵だったかに気がついたというのです。
最後に
「一日一日を大切に、楽しく、後悔のないように生きていこうと思います」
と結んでいました。
大切なものは、失ってはじめてわかるものであります。
ちょうど、知人から毎月送ってくださる個人詩誌が届きました。
そこにベランダで葉っぱにシュッと霧吹きかけたことが写真と詩とで載っていました。
すると、虹がパッと現れ サッと消えたというのです。
その瞬間の写真も素晴らしいものでした。
ベランダで鉢植えか何かの植木に、霧を吹きかけたその瞬間に日の光を受けて一瞬虹が現れたのでしょう。
その一瞬を見逃さずにカメラにおさめ、詩に表したものです。
虹が現れたことに気がつくことも素晴らしいのですが、
私たちが普段何気なく過ごしている一瞬一瞬が、実は美しい虹がかかったのと同じくらいに素晴らしく、かけがえのないものなのでしょう。
普段は、あまりに当たり前で気がついていないだけなのです。
当たり前の素晴らしさに、気がつくことのできる心を養いたいものであります。
失う前に……
横田南嶺