新型コロナウィルスの影響
連日コロナウィルスについての報道が続いています。
最近は、「コロナ禍」という言葉も目にするようになりました。
「禍」はわざわいですから、「コロナ禍」とは、コロナウィルス感染症の拡大によってもたらされるわざわい、不幸という意味でしょう。
相田みつを美術館から、四月四日より休館するという葉書をいただきました。
期間は、当分の間としか書かれていませんので、長い期間になると思われます。
もともと国際フォーラムにある美術館は、オリンピックの開催のため七月から九月までは休館の予定でした。
それだけでも大変なことですが、コロナウィルスの影響で四月から休館せざるを得なくなったとは、そのご苦労は察するに余りあります。
阪神大震災や東日本大震災のあとには、相田みつを先生のあたたかい言葉や書に、多くの人が心の安らぎを求めたのでしたが、今回は館を閉めざるを得ないというのです。
これもまた「コロナ禍」でありましょう。
毎日新聞日曜くらぶに連載されている海原純子先生の「新・心のサプリ」も、このところコロナウィルス関連の話題が続いています。
十二日の記事には考えさせられました。
かつての震災のあととは異なる、さまざまな影響が出ているというのです。
「新型コロナウイルスの感染者を診察したクリニックが中傷を受けたり、
感染患者が入院している病院に勤務する看護師さんや医療関係者が子供を保育園に預けようとして断られたりなど、
この国の心はどこへ行ったのかと思うようなことが起きている。」
と指摘されています。
そこで海原先生は、そんな日本の状況とは対照的なイタリアの様子について、イタリアに住む方からの手紙を紹介されていました。
「お手紙によると、死者が一万人を超えたイタリアだが、
……まわりの人たちは、自分や友人が助かるためではなく、
見知らぬ人々をも含めたみんなが助かるために、どうすればよいかを考えているとのことだ。
誰も感染した人を責めたり、家族を中傷したりしていないという。」
のであります。
「そして「厳しい状況に立たされた時、人はその本性があらわになる。悪意ある人はあしきことに走り、
善き人はいつにもまして良い振る舞いをする」という精神で、生活を続けているそうだ。」
と海原先生は書かれていました。
もちろんのこと、日本にも周りの人たち、見知らぬ人たちのために懸命に働いてくださっている方々がいらっしゃることは言うまでもありません。
海原先生は更に
「東日本大震災も新型コロナもこれまで経験のない大きな災害だ。
でも、震災の時は、ごく自然にみんなで一緒につらい時を乗り切ろうという思いが起こり、
その思いが余震の続く日々の中で大きな希望になった。」
と指摘され、最後に、
「新型コロナ感染拡大を阻止するには、物理的に人と人との分断も必要だ。
だが、感染を乗り切るためには、人と人との心のつながりと一体感がなければならないだろう。 」
と文章を結んでおられます。
コロナウィルスについては、まだこれからどうなるのか先行きが見えないし、実際にどんな影響があるのか、目に見えないところも多いので、一層不安になるのでしょう。
実に考えさせられる記事でしたが、
海原先生の仰せの通り、みんなで一緒につらい時を乗り切ろうという思いを大切にしたいものです。
横田南嶺