今日の出来事
日向ぼこ
うとうとと生死(しょうじ)の外や日向ぼこ
という村上鬼城の句がございます。
この句も、昨年末毎日新聞の「季語刻々」で拝読したものでした。
坪内稔典先生の解説には、
「うとうとして、今日の句のように「生死の外」、すなわち現実を越えた至福の境にいる気分をもたらす」
とあります。
この頃は、新型コロナウイルス流行の報道が続いて、毎日これからどうなるのかと心配になるのですが、日曜日の夕方、ポストに手紙を出そうと久しぶりに門を出ると、
総門入り口の石段の真ん中で、わが寺の猫が悠然と日向ぼこ。
なにもわざわざ真ん中で日向ぼこをしなくてもと思いますが、拝観の皆さんが日向ぼこ中の猫をよけるようにして、両脇を通ってくれていました。
たいしたものです。
たぶん新型コロナウィルスのこともご存じないことでしょう。
まさに「生死の外や日向ぼこ」の姿を見せてもらいました。
横田南嶺