『大法輪』四月号
『大法輪』四月号が発売されています。
今月の特集は、「仏教 ざんねんな誤解」という特集です。
仏教に対するさまざまな誤解に答えるという企画です。
私も、依頼されて、「仏教一般への誤解」という一章を担当しています。
(1) 仏教は生きていることを苦しみであると説く厭世的な(暗い)教えだ
(2) 仏教が願うのは死後の幸福
(3) 仏教を学ぶのは年をとってからで良い
(4) 仏教は道徳・哲学だ
(5) 悟りとは感情がなくなること
(6) 仏教に頼るのは精神的に弱い証拠
という六つの誤解に答えるという形式で執筆しています。
仏教についてまだあまり学んでいない一般読者にも分かるように書いて欲しいという依頼で、できる限り専門用語を使わずに書きました。
こういう一般読者向けに平易に書くというのは、実は骨の折れるところで、学識の深さが試されるものであります。
諸先生方の執筆も分かりやすいように心が配られています。
なかには、「日蓮宗への誤解」で「日蓮宗のお坊さんはいつも怒っていて怖い」というのがあって、思わず苦笑しました。
只今『大法輪』には、小川隆先生が「中国禅入門 唐代禅僧たちの生涯」を連載してくださっています。
いつもながら、難しい唐代の禅語録を明快に解説してくださっていて、毎月学ばさせてもらっています。
今回も鳥窠(ちょうか)道林禅師と白居易との問答を紹介くださっています。
この問答はよく取り上げられるのですが、どのようにして今日引用するような形になったかについて、深い考察が示されていて、私も納得できました。
あまり仏教に関心をもっていない人が誤解しているようなことに対して答えるということで、執筆したのですが、
はたして仏教に関心の無い人は、そもそもこの『大法輪』を手にすることはないのではないか という、大きな疑問が残りました。
それでも、十分関心があって既に学んでいる方にも、より一層学ぶところがある一冊ですので、お勧めします。
横田南嶺