坂村真民 詩
木と気
今月の掲示板に書いた詩は、坂村真民全詩集の第五巻にある「木と気」です。
全文はもっと長いものですが、その冒頭の一部分を書きました。
掲示板に書く場合は、あまり長いと読まれませんので、短く切り取るということが必要になります。
全文を記しておきます。
木と気
木は気に通う
だから気力をなくした時は木を見よ
大地に深く根を下ろし
毅然として風雪に堪えている木を仰げ
少年の頃からわたしを支えてきた一本の木よ
わたしはその木の下で
ロビンソンの漂流記を読み
日本の神々の話を知った
青春の苦悩と挫折とを救ってくれたのも
その後の病苦と困難とを
克服させてくれたのも
庭にあった六百年余のいちい樫であった
父の急逝でその木とも悲しい別れをしたが
今もわたしの中に生き続けている
偉大な木よ
真民先生は、八才の時に父を亡くされています。
お父さまは小学校の校長であり、大きなお庭のある家に住まわれていたようです。
その庭の大木から大きな力を得られていました。
その力は、お父さまを亡くされ、その家を離れてからも、ずっと真民先生を支え続けていたのです。
木は、気となって真民先生のなかに生き続けていたのです。
真民先生は、私たちに問いかけられました。
「何を持つか」 と。
木は
気を持つ
石は
意志を持つ
あなたは
何を持つか
横田南嶺