今日の言葉
井戸水のように
『修身教授録』に
「それはたとえば井戸水みたいなもので、……水をかい出して、もう出なくなったと思っても、しばらくすればちゃんと元のように溜まっているのです。
人間の力もまあそんなもので、もうこれ以上はやれないと思っても、その人にして真に精進の歩みを怠らなければ、次つぎと先が開けてくるものであります。」
という一節があります。
これなどは、修行の道においても同じことです。
もう無くなりそうだ、無くなっては困るなどと思い計らって、
水を残しておけば、水がよどんでしまいます。
無くなるのを覚悟で思い切って出し切ってみる。
すると、また清らかな水が湧いてきます。
修行においても、力を温存させようとすると、よくありません。
『無門関』に
「平生の気力を尽くして、この無の字を挙せよ」
とありますように、気力のありったけを出し尽くしてみる。
そうすると、また新たな力がふつふつと湧いてくるものです。
その繰り返しであります。
横田南嶺