今日の出来事
消防訓練
二十八日、円覚寺で消防訓練が行われました。
消防車や救急車が出動して、本格的な訓練でした。
舎利殿は、国宝になっていますので、近年その防火設備も充実されています。
放水銃も、訓練の一環として稼働しました。
火を防ぐことは、大切なことです。
そんな訓練を見守りながら、お互いに心の火を消す訓練もしておかなければならないと思いました。
『寒山詩』に
瞋は是れ心中の火、
能く功徳の林を焼く
菩薩の道を行ぜんと欲せば
忍辱して真心を護らん
という詩がございます。
瞋りは心中の火であって、いくら功徳を積んできたとしても、それを一瞬のうちに焼きつくしてしまいます。
菩薩の道を歩もうと思うならば、忍辱して己の真実の心を大切に護ることだという意味です。
瞋りだけではありません。貪りの火、憎しみの火、愚かさもまた火のようなものです。
燎原(りょうげん)の火も、熒熒(けいけい)より生ずという言葉があります。
野原を焼き尽くすような大火も、わずかな火から起こるという意味です。
心に起こるわずかな火だねに気づいて、大きくならぬうちに消すことです。
それには、普段から心を調える訓練をしておくことが大切だなと思って見ていました。
横田南嶺