『坂村真民一日一詩』
『坂村真民一日一詩』が致知出版社から刊行されました。
『坂村真民全詩集』八巻から、三百六十六の詩が選ばれています。
生前の真民先生とも親交の深かった致知出版社の藤尾秀昭社長が自ら選ばれた詩集であります。
この詩集の特色は、三百六十六の詩が年代順に並べられていることです。
私がかつて真民詩集百選を作った折には、テーマごとに詩を編集しましたが、
この『一日一詩』は、年代順に並べられているので、
読んでいると真民詩が年と共に深まってゆくことがよく分かります。
九十七年の間、真実の道を求めて、自らを深め続けられたことがよく分かるのです。
巻頭には、真民先生のご息女である西澤真美子さんの「まえがき」があります。
素晴らしい内容のまえがきです。一篇の詩になっているようにも感じられます。
その冒頭の部分のみ紹介します。
「大海のなかに落ちた真珠のようなことばを、お釈迦さまの言われるように柄杓ですくい上げようと決意した」
父・坂村真民の言葉です。初めて聴いたそのときから、私を惹きつけて止まない文言です。
その表現の美しさに魅せられる一方で、潜む厳しさと気の遠くなるような時間の流れに、言葉を失います。
こんな言葉から始まっています。
この一日一詩を、昨日、西澤真美子さんから贈呈していただきました。
ご丁寧なお手紙と共に拝受しました。
お手紙を読んでいると、
「好きな詩の中の大好きな一節を、下手な字で書いてみました。お笑い下さいませ」と書かれています。
はて、どこに、何の言葉を書かれているのかなと思って探すと、なんと本の扉に墨書してくださっていたのでした。
真美子さんの署名の本を頂戴するのは、初めてのことで、うれしく感動しました。
そしてその言葉が、
「体のなかに
光をもとう」
です。
もうすぐ一年が終わろうとしています。
新しい年を迎えるにあたって多くの方に読んで欲しい一冊であります。
横田南嶺