僧堂提唱
病は不自信の処にあり
修行者の欠点はどこにあるのか。うまくゆかない原因はどこにあるのか。
臨済禅師は、「病は不自信の処にあり」と喝破されました。
自信は自らを信じることにほかなりません。
自らの何を信じるのか、仏心を体得することにほかなりません。
仏心は、世界に満ちあふれてどこにも行きようがないと話で聞いても、「ああ、そうかな」と思うくらいでは、自信になりません。
お互いにこうして摂心をして、無字の公案になりきっていって、鼻先で「ムー、ムー」言うのではなく、小さな体で「ムー、ムー」声を出すのでもなく、
大千世界一杯の「ムー」になりきるのです。
この「ムー」が三千世界一杯に満ち満ちて、どこにも行きようもない、生まれもしない、死にもしない、常にここに在って生き生きしていると実感するのです。それが自信であります。
そしてはじめて自信を持って引導を渡すこともできるようになります。
(雪安居月並大摂心提唱より)
横田南嶺