坂村真民先生の足跡を訪ねる旅② 真民詩の原点
今回の旅の一番の目的は真民先生が毎朝水汲みに
通っていたという井戸を拝見することでした。
数年前に真民記念館を訪れた際に、
この井戸が今も残っていることを、西澤館長からうかがって、
是非一度拝見したいと思っていその念願がかないました。
八歳の頃父の死に目に会えなかった真民先生は、
その後お父様ののど仏を家にお祀りして、毎朝近くの共同井戸に行って、
お父様ののど仏にお供えするお水を汲みに通われました。
しかも真民先生は、その井戸水を汲むのに、
まだ誰も水を汲みに来ていない朝一番のお水を
汲まれたのでした。
真民先生の早起きのもととなった井戸です。
毎朝早く起きて夜明けの霊気を吸って作られたのが
真民詩だから、その井戸こそは真民詩の原点とも言えます。
真民先生の育たれた家からは、井戸へはそう遠くはないのですが、
まだ舗装もされていない道を、
八歳の少年が夜明け前の薄暗い中、
重い水を持って歩かれたのだから、
随分と長い道のりと感じられたことであろうと、
しばし井戸端に立ち、八歳の少年が、父ののど仏に供える為に水を運ぶ姿を
思い感慨無量でした。
長年真民詩を学んできましたが、
こうしてまた一歩真民先生にお近づきできたような気がしたのでした。