人間に生まれたものだけが・・・ 「一日一語118」
<妙香地前から仏殿方向をのぞむ。>
横田南嶺老師が大攝心で提唱されたことをまとめてみました。
仏教では、我々、人間界の者だけが仏道を行ずる、六道輪廻からのがれることが
できると説いています。地獄にいると仏教の教えを聞くことができない。
餓鬼・畜生・修羅の世界にいても仏教に目覚めることはできない。
天上界は良さそうに思われますが、あらゆる楽しみが満たされ苦痛のない
世界ですから、仏道を求める心が生まれて来ない。
人間に生まれたならば、地獄ほどの苦しみはないが、しかし、思うように
いかない苦しみの世界でもあるので、人間に生まれたものだけが、
この六道輪廻をのがれる修行をすることができる。それで「人身受け難し」
なのです。
仏教の基本は、苦しみと煩悩を滅して解脱をすることです。
この現実世界を楽しく生きようとか、幸福な暮らしをしようというのと
仏教との決定的な違いは、ここにあります。六道の苦しみの世界から
解脱をする、それが本当の安楽であるという教えであります。
ですから、仏教をこの現実世界をいかに生きるかと変換してしまうのは
本当は、誤りであります。
しかし、教えを説く場合は、段階がありますから、いっぺんに解脱ということでは
難しいということで、徐々に説いていく面がありますが、目指すところは、この現実の
苦界から解脱することを求めるのが、お釈迦様の本当の教えなのです。
(平成28年11月21日 東嶺和尚法語提唱より 27:50)