一日一語 65
<夕日の照らされる山>
何年か前に私は、少年院にずっと長年勤めていた人から聞いた話があるんですね。
少年の犯罪、特に(その方が務めていた)少年院というのは、重い犯罪を犯した少年が
来るんだそうですね。そこでね、二十年、三十年、ずっと面接をやっている
人が、私に言ってくれたことがあるんですね。
そういう少年で、重い犯罪を犯した子供たちの面接をずっとやってきて、
自分が気がついたと。そういう子供たちには、共通していることが一つある
というのです。何ですか、と聞くとそれは、お墓参りをしたことがないと。
お父さんやお母さんと一緒に、お寺やお宮にお参りしたという経験がないと、
そういうことを言ってくれてましたね。でその方は、ですから、なるだけ、
昔は、小さな子供を連れてお墓参りにいったんですね。ああいうことは、
決して無駄ではないと思いますと。何か子供の心に、感じるものが
あるんだと思うんですね。・・・
{月桂寺発行冊子 『横田南嶺老大師御法話』より}