粗仕子、中仕子、上仕子
急に気温も下がり円覚寺の紅葉もやっと色づいて参りました。
月並大攝心 初日
横田南嶺老師が僧堂攝心で提唱されたことをまとめてみました。
山岡鉄舟に大工のかんなけずりのおもしろい話があります。大工は木材を削る際に
かんなを使う比率がある。それは粗仕子(あらしこ)、中仕子、上仕子の3段階ある。
最初は粗仕子といってとにかく腰をそえて、おなかに力を込めて、全身全霊で
粗けずりをする。そうして、それをやった上で、中仕子といって、自然に手加減を
して角をけずっていく。最後に上仕子といって平らになった表面ををさらにむらなく
なるように細かくけずっていく。
かんなと人と柱が一つにならなければならない作業です。これは剣の修行もわれわれ
禅、仏道の修行も同じ道理です。
禅の修行も、最初は粗仕子と同じで腰を決め、おなかに力を込めて寒い中でも汗ばむ
くらい全身全霊で坐る。鈴木正三の説かれた「仁王禅」のように、仁王様の気迫で坐禅をする。
目を見開いて歯を食いしばり、手にコブシをつくり、足に力を込めて全身全霊で取り組む。
坐相3年と言います。本当に坐禅で腰が立つまでには真剣に取り組んでも3年はかかる。
いい加減にしていたのでは坐相一つ決まらない。荒々しいくらいの気迫で涌いてくる念を
斬って斬って斬り尽くすのです。
それを経た上で、中仕子です。少しずつ角をとっていく。そして最後は、10~20年かけて
上仕子のように、観音様のように柔和になっていくのです。