五祖法演禅師 投機偈
今日の僧堂入制大攝心(第4日目)で、横田南嶺老師が提唱されたことをまとめてみました。
○五祖法演 投機偈
山前一片閑田地 (この寺の前に一片の休耕地がある)
叉手叮嚀問祖翁 (礼儀を正して、この田んぼは一体誰ものですかと人に聞いて回った)
幾度賣来還自買 (誰のものかわからないので幾度か売ったり買ったりしてきた)
為憐松竹引清風 (主は誰なのか分かってしまえば松竹の涼しい清風を味わうばかりである)
※五祖法演禅師(1024年?-1104年)は、臨済宗中興と言われ古則公案を通じた禅修行を確立された方です。
投機偈とは、自らの悟りの境地を詠んだ詩です。
* * * *
「幾度か売り来たり還た自ら買う」、とあります。
田んぼとはめいめいに備わっている心、仏心のことです。
この田んぼ(心)の主は誰なのか、何者がこうして坐っているのか聞いているのか分からないので、
私たちは問いて回り聞いて回り散々苦労をし、無駄骨を折ります。
しかし、己なきところ、天地一枚というところを自分で体験する。
「古則公案」というものを強いて用いて、思慮分別を絶していく。
「無字の工夫」といわれるものです。
この天地一枚のところが基となって、
人々に本当の安らぎを与え、慈悲の心を伝えていく。
心の田んぼを耕していく、信の種を蒔いていく、智慧の慈悲を施していく。
これが私たち禅宗が目指す修行です。
※色づき始めました(方丈庭園)