この虚空を見よ
虚空を仰ぐ亀 於 妙香池
横田南嶺老師が先日の日曜坐禅会で提唱されたことをまとめてみました。
この虚空・空間を見ると朝になると日が昇り明るくなります。しかし、明るく
なったからといってこの虚空・空間そのものが別段変わるわけではありません。
同様に日が沈んで暗くなったからといってこの空間そのものの色が変わるわけでもない。
ただ、そのように見えているだけなのです。
お互いのこころもそうです。悩んだり、苦しんだり、暗く落ち込んだりすると
自分のこころまで暗く落ち込んだように見えるかもしれませんが、こころそのものは
明るくなったり、暗くなったりするということはありません。
明るくなったり暗くなったりというのは、様々な縁にしたがってそのように
見えるだけであって虚空・空間そのものは何ら色が変わるということはない。
私たちの本来のこころもちょうどそのようなものです。
仏様というと何やら清らかできらきらと光り輝いていて何らとらわれがない
ような姿を私たちは描きます。それとは逆に私たち衆生というとけがれ、愚かで
迷っている姿を描いていまいます。
姿・形にとらわれるというのはそういうこというのです。虚空・空間は大きな音が
したからといってこわれることもないし、人が騒いだからといって乱れることもない。
形あるものは、いつかは、なくなるのが道理ですが、この虚空・空間は変わることがない。
ですから、この虚空を見よです。この虚空こそお互いの本心なのです。
{平成26年6月1日(日) 日曜坐禅会 伝心法要提唱より}