便利・楽を求めた先は
12月24日(火) 冬季学生大攝心 中日
横田南嶺管長が昨日の冬季学生大攝心でご垂示されたことをまとめてみました。
(今回の学生大攝心は、この一番厳しい季節にもかかわらず、大学生を中心に25名の方々が
参加をされました。)
リニアモーターカーに関して批判的な記事が載っていました。
その記事には、新幹線が出来たとき、谷川俊太郎さんが作った詩が引用されて
いました。そんなに急いでどこに行くのか。田植えで働いている人の手が見えない。
人間が小包のように運ばれていくという内容の詩です。
現代は世の中の進歩が過去の歴史から見てもたいへんなものとなって
「便利」「楽」になったと思われている。しかし、よくよく考えてみると
いったい、そこに幸せはあったんでしょうか?
このまま走り続けて行き先はどこに向かっているのか?幸せの道か?
不幸の道か?はたまた、滅亡の道でしょうか?少し考えてみる必要が
あろうかと思います。
便利になったからといって必ずしも幸せに結びつくものではないと
思います。「便利」「楽」だけをを求めていく先にあるのは幸せではなくて
不幸なのではないでしょうか。
私たちはどこかで何か大切なものを見失って荷物の小包のように
運ばれてはいないでしょうか。そうならないようの私たちはもっと
人間の根本、おおもとに立ち返らなくてはなりません。
生きるということ何であるか?生きているということはどんなこと
であるか?この体で体験、実感をして、そこから何を成すべきか
どういう方向に向かっていくべきかを見極め、確かな一歩を進んでいく。
それが私たちの坐禅の修行の目的です。外に向かって働く心をいったん止めて
自分の心をおさめて、内面を見つめる。そして各々の心の内にある確かな
より所を見つける。
そこに根をおろして確かな歩みを一歩一歩進めていくきっかけに
この坐禅会がなったら何よりの幸いです。
<円覚寺山内・妙香池から> 16時20分頃、夕日に照らされて山全体が
燃えるように赤く染まっていました。ここ数年で一番の染まり具合です。