天下の陰涼とならん
6月23日(土)半制大攝心中日
管長様が僧堂攝心で提唱されたことをまとめてみました。
大木というものは、円覚寺の方丈にある柏槇(びゃくしん)
もそうですが、観光客がみな足を止めます。何もものを言わず
人を癒していく大きな力を持っています。
妙心寺開山・関山慧玄禅師に「柏樹子の話に賊機有り」
という言葉がある。賊というのは泥棒です。しかし、悪い泥棒
ではない。人々の悩み・不安・苦しみを奪い取ってくれるはたらき
です。人々の心を癒してくれるはたらきのことであります。
大木があればたくさんの鳥たちが羽根を休めて実をついばみ
憩うことが出来る。「天下の陰涼」という言葉があります。一本の
大木があると涼しさを得ることが出来る。木は無言で何も言わない
けれど、人や鳥などに大きな恩恵を与えてくれます。
「柏樹子の話に賊機有り」とはこの大木のはたらきであります。
私達もあの一本の木に成り切って坐る!
あの大木のごとく大地に根を下ろして、どんな風や雨、嵐があっても
微動だにしない!あの大木のごとく坐れ!
そして天下の陰涼たらん。世の人々の涼しい木陰となる。
人々のより所となる人材になって欲しい。大木にたくさんの
鳥たちが集まって羽根を休めるように、大勢の人達に涼しい
木陰を与えるような坊さんになって欲しい。
「賊の機」というのは「衆生無辺誓願度」のことであります。
人々の苦しみ・悩み・不安、これがなくなりますように、
そして、穏やかになりますようにと願う心に他なりません。
その為には己のわがまま・煩悩を殺して、人境一如です。
大自然と一枚になっていく。一枚になったところが、
「賊のはたらき」であり、それは慈悲心と言っても同じで
あります。
慈悲心と一枚となっていく。それが関山慧玄禅師の教えで
あります。
<方丈> 柏槇
(後記)
おかげさまで、今日の土曜坐禅会初心者の部も
先週に引き続き、(居士林の収容人数ぎりぎりの)90名
以上の参加者が来林してくださいました。みなさん、
有り難うございました。