一番近くにある大自然
4月23日(月)攝心中日
管長様が僧堂攝心で提唱されたことをまとめてみました。
何が苦しいか、何が辛いか。人間を一番苦しめるのは
(自分で勝手に作る)いらぬ考えであります。己の妄想が
己を苦しめるのです。
「没可把(もっかぱ)」という言葉があります。何にも
とらえようとしてはいけないということであります。
何かをとらえようとすればするほど、また遠ざかって
しまう。ああでないか、こうでないかと考えれば考えるほど
遠ざかってしまいます。
それよりも「坐忘(ざぼう」といいまして忘れてしまうのが
いいのであります。それでは何を忘れるのか。我を忘れ、
自分が坐っていることを忘れて大自然と一体となる。
大自然というと、はなはだつかみ所がないように思いますが
私達の一番近くにある大自然はこの体です。一番身近にある
大自然はこの呼吸であり、これこそ大自然のはたらきであります。
この呼吸に集中、意識を向ける。とりわけ(下腹部の)丹田・
おなかに意識を集中するのであります。
(みなさんは坐っていると)妄想が邪魔をすると言いますが、
それはどこから出てきますか?みんな頭から出てくるんです。
おなか・丹田は余計なことは考えないのであります。
(禪の問題は)足の裏で工夫をしろとよく言われますが
なるほど足の裏は余計なことは考えない。おなか・おへその下
・丹田に意識を集中し、足の裏に意識を持っていけば自ずから
頭の方はからっぽとなる。
「数息観」といってはじめは、自分の呼吸を一生懸命数える
のだけれども、いきつくところは数を数えることも、はたまた
もう自分が息をしていることすらも忘れてしまって、大自然と
一つになる境地であります。