揺るぎない確信
10月9日(日)
日曜説教会で管長様が提唱されたことをまとめてみました。
建仁寺の管長だった竹田益州老師は、若い頃、数年間の修行を
終えて大きなお寺の住職となりましたが、火の不始末でそのお寺の伽藍を
燃してしまいました。なかば、追い出されるようにお寺を出され僧堂に戻り
ました。名刹を燃してしまったとの自責の念に苦しみ、また周りに人からも
ことあるごとに責められました。とりわけ師の竹田默雷老師は、とくに厳しく
「だから、お前はそんなことだから寺を燃やすんだ。」とののしり、これには
若き益州老師も実にこたえたそうです。
禅宗の老師はあまりほめたり、情けをかけることはしない。ほめることは
一見たやすいことのように思えますが、それが本当にその人の為になるかは
難しい。温室育ちですとどうしても弱い。杉の木はすくすくと育ちますが台風が来ると
真っ先に枝が折れ、幹が倒れるともう芽が出ない。
ある仏師の方が言っていましたが、仏像を彫るのに一番適していない
のはすくすくと育った木だそうです。逆に谷の底から伸びて周りの木に日の光を
さえぎられて、かろうじて伸びてきた木は一番強く仏様を彫るのにはいいそうです。
将来、禅宗の和尚さんとして世間の荒波を越え、何事にも堪え忍んで
いけるように麦踏みのごとく、默雷老師は益州老師をお鍛えになったのでしょう。
そんな益州老師が修行にはもう耐えられないと本当に追い込まれたときに
ある方から「これをとにかく読め。」と手渡されたのが法華経の訓読本でした。
老師はそれを繰り返し繰り返し読んで「自分は本当に救われた。」と思われた
そうです。
次に続く・・・