『坂村真民箴言詩集 天を仰いで』
このたび、坂村真民記念館館長の西澤孝一様の編集により新たな真民詩集が、出版されます。
箴言詩集とありますが、「箴言」というのは、戒めの言葉という意味です。
戒めといっても、人に対して戒めるのではなくて、自らを戒めるための言葉です。
この本の「はじめに」に西澤館長が、
「坂村真民の詩は、「君たちはとう生きるか」を問う詩ではなく、
「私はどう生きべきか」を問う詩であり、どの詩も「君たちや貴方たちへの詩」ではなく、
「自分自身に向けた詩」であり、その中心となるのが「自分への厳しい戒めの詩」なのです。」
と解説されている通りなのです。
前著の『かなしみを あたためあって あるいてゆこう』と同様に、
西澤館長は、真民先生が残された七百九十六冊にものぼる膨大な思索ノートをすべて読み込まれて、
それぞれの詩に解説をつけてくださっています。
思索ノートにある言葉を知ることによて、真民詩をより深く味わうことができます。
真民先生の詩に、
ふかきを
きわめ
あさきに
あそべ
というのがございますが、箴言詩は、自ら深きを究めんとした詩なのです。
この深さがあるからこそ、真民詩は多くの人たちの力をなり、支えとなっていったのだと思っています。
真民詩の深さを知る一冊です。
私も巻頭に、推薦の言葉を書かせてもらっています。
この本の出版には、西澤館長を通じて私も関わってきました。
今の時代に本を出版することは、容易なことではありません。
本書の出版も、西澤館長の強い信念のもとに、ようやく上梓となりましただけに、
私にとっても感慨深いものがあります。
是非お勧めしたい一冊です。
十一月十五日の発行ですので、まもなく書店などで購入できると思います。
横田南嶺