雨もまたありがたし
八日は、花園大学で『禅とこころ』の講義。
朝の坐禅を終えて、出立。鎌倉は雨があがっていたので、
大丈夫だろうと思って、傘を持参せずに、京都駅に着くと雨。
このところ、天気予報が雨でも、
講演の時には雨が上がるという不思議なことが続いていたので、油断していました。
京都駅で傘を購入し、大学に行くために、円町の駅で降りました。
法衣に草履という姿は、実に雨の日には難儀します。
すると、円町の駅に、大学でいつもお世話になる和尚が、車で迎えにきてくれていました。
ありがたし。雨に濡れずに大学へ。
雨にも関わらず、講義は公開講座でもあるので、教堂という教室は補助椅子も二階まで満席。
夢窓国師について九十分講義しました。
大学では、平素ご尊敬申し上げる先生から近著を拝受しました。
なかには、なんと、先月の大学での私の講演を聴かれて感銘を受けたとの感想が入っていて恐縮しました。
あのような偉い先生が、私ごとき者の話を聴いてくださっていたとは、恐れ入りました。
帰りには、僧堂の雲水のためにお土産を買おうと、
近くの菓子店で菓子を買っていました。
私のことをよく知っていてくれる菓子店で、
店頭でお茶を入れていただいたので、
くつろいでいると、私の修行道場で修行した教え子の和尚が、入ってきました。
何でも、菓子店でお茶を飲んでいる姿を見つけてきたとか。
車で来たので、京都駅まで送りましょうという有り難い言葉。
京都駅までの車中、久しぶりに話もできました。
最近京都郊外のお寺に入ってのですが、大変な名刹でもあり、
大丈夫かなと心配もしていたのです。
元気でやっている様子がうかがえて、有り難く、うれしくもありました。
そして、京都駅まで送っていただいて、結局駅で買った傘は開かずじまい。
多くの皆々様の、ご縁のおかげで、雨もまた有り難しの一日でありました。
横田南嶺