龍雲寺ダンマトーク
九月二十一日は、龍雲寺のダンマトーク(脚註※)で
「臨済禅師の教え」という題で講演。
小川隆先生の名著『禅思想講義』にある
「「即心是仏」といっても「仏」と等しき聖なる本質が
心のどこかに潜んでいるというのではありません。
迷いの心を斥けて悟りの心を顕現させるというのでもありません。
己が心、それこそが「仏」なのだ、
その事実に気づいてみればいたるところで「仏」でないものはない。
ここから現実態の生き身の自己のはたらきは
すべてそのまま「仏」としての本来性の現れにほかならない。(小川隆『禅思想史講義』71ページ)」
という言葉を引用させていただいて、
馬祖道一禅師の禅思想から
それを受け継いだ臨済禅師が、「無事」ということを説かれ、
「一無位真人」がこのお互いの現実の肉体の上に現わになって
「活鱍鱍地(かっぱつぱっち、極めて勢いのよいさま。気力がみちみちて活動してやまぬさま)」に
はたらいていく様子を、四料揀(しりょうけん)、四喝(しかつ)などを例に取りながら
話してみました。
臨済録というと、難解な書物という印象が強いと思われます。
それをどこまで噛み砕いて、お互いの日常の暮らしのなかに
生かしていけるかという点に重きをおいて話しました。
ダンマトークは、ここ数年来、秋にお話させていただいています。
龍雲寺にご縁のある方々は、皆さん実に熱心で、
話をする方も力が入りました。
龍雲寺にもご縁の深い目黒の円融寺の阿純章(おか じゅんしょう)師も
わざわざ聞きに来られて、恐縮しました。
阿純章師と対談して『生きる力になる禅語』を上梓させて
もらったご縁があります。
阿純章師とご縁を作って下さったのも
龍雲寺の細川晋輔老師であります。
横田南嶺
註※「ダンマトーク」:臨済宗妙心寺派の古刹である龍雲寺(りゅううんじ・東京都世田谷区野沢)と
妙心寺派東京禅センターが共催する法話会