新しい発見と感動
それは体全体で感じる感動であり、喜びであります。
先日は西園美彌先生にお越しいただいて、三時間の講座を開いてもらいました。
魔女トレを教わるようになって、何年も経ちます。
西園先生の言葉によれば、私ほどたくさん、西園先生の魔女トレを受けている者はいないそうであります。
もっとも受け取る容量が極めて少ないので、なんど教わっても進歩はしないのであります。
それでも、そのたびごとに感動があります。
新しく受講する修行僧もいますので、いつも変わらぬ基本をお教えくださいとお願いしますが、西園先生は、毎回新しい何かを伝えてくださるのです。
それで今までたくさん受講してきても、毎回新しい発見と感動があるのです。
これには毎回驚かされます。
西園先生は、同じことでは自分が納得いかないそうで、一月も暮らしていると何か必ず発見があるのだと仰っていました。
その言葉を聞きながら、自分自身を振り返ると、私もまた毎月のイス坐禅で、毎回新しいことを発見して、新しいことを見つけた感動を伝えるようにしています。
もっとも私の場合は、私自身で開発して見い出したものというより、人から教わったことを、自分なりに工夫しているだけのことなのです。
今回もっとも驚き感動したのは、踵で踏むということなのです。
踵で踏むということは、今までも何度も実習してきています。
西園先生独自のワークで、足の踵で地面をしっかり踏めるようにするのです。
そうすると体幹が安定して、上体の力が抜けて、所謂上虚下実が実感されます。
大地から大木が立っているような安定感を感じます。
そういうことは出来ていました。
自分ではこれでじゅうぶんだと思っていたのでした。
今回は、踵で踏むにしても踵の内側のある一点を踏むようにしたのでした。
はじめ教わって行うのに、どうしてこんな場所なのか不思議に思いました。
これがいったい何だろうかと思って行っていると、驚くことが起きました。
股の内側の内転筋が活性化して、それが腸腰筋につながって身体の中心部分が今までよりも一層鮮明にあらわになったのです。
漠然とした大木のイメージが、ありありと鮮明に大木を感じることができるように変わったのでした。
この踵の一点でこんなに変わったので驚いたのです。
終わったあとに西園先生にどうしてこのようなところに気がつかれたのかをうかがいました。
西園先生は今舞台に向けて毎日練習をなされているそうです。
何度もリハーサルを繰り返し自分の動きをよく観察して、どこが足りないか、どこが抜けているのかを精妙に見ていって、この一点を見いだしたというのです。
それが最近のことだと仰っていました。
そんなご苦労をなされてようやく発見されたことを、私どもにお伝えくださるのですから有り難いことであります。
それから前回教わった腕の外旋と内旋、それに連動して今回は股関節をはめるワークを行いました。
股関節をはめるエクササイズは、はじめのころから何度も教わってきたものです。
自分なりにできているつもりでいましたが、二人一組になってお互いに手を貸しながら行うと、一人で行っていたのとは全く異なる精度で出来るようになりました。
また西園先生が考案なされた絶望のポーズや西洋絵画のポーズも実習しました。
これなどもよくこのようなことを考え出されたと思います。
大腰筋が伸びるので私も自分でよく行っています。
しかしこれもまた、今回その精度が一層増しました。
ここまで精密に行うのかと驚いたのであります。
西園先生はストレッチだけでは体は柔らかくならないと仰います。
筋肉の伸びてくれない原因は、きちんと縮まないからだというのです。
筋肉をしっかり縮めるということができると伸びが出るのです。
しっかり脇を締めるということを意識して行っていたのです。
それから開脚の時に、真向法などでも足首をしっかり立てることを重視していますが、西園先生は、踵で押すように指導してくださいました。
これで一層内転筋がゆるむのです。
開脚で足首を立てる意味がようやく分かりました。
いろんなワークを通して今回は内転筋と腸腰筋のつながりを今までよりも強く感じることができました。
その連動が強化されると、体の中心に柱がしっかりとできあがると感じます。
自分自身でもまだまだ体に開発される可能性があるのだと思いました。
西園先生ご自身もこの九月に六年ぶりに舞台を務められるそうで、十年前にできなかったことが、今とてもできるようになっているというのです。
多くの方に魔女トレのご指導をなさって、それによってご自身の体もまた変化されているのだと思います。
西園先生に教わったおかげで私自身も大きな変化を感じています。
また修行僧達もとても姿勢がきれいになっているので、有り難い限りなのであります。
横田南嶺