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臨済宗大本山 円覚寺

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2024.03.09
今日の言葉

禅と発酵 – 其の二 –

禅と発酵ということを考えるとまず思い浮かぶのは、場所の力であります。

発酵というのは、場が大きな影響を与えます。

かつて栗生さんに円覚寺にお越しいただいて、発酵についての企画を行ったことがあります。

円覚寺で作った甘酒を栗生さんに召し上がってもらうと、とても喜ばれました。

その時に言われたのが、常在菌であります。

この円覚寺という場に、素晴らしい菌があって、よい発酵になっているというのです。

同じ材料を同じ分量を使って発酵させても、その場所によって異なるのです。

糀という菌は、日本固有のもので、この糀をよその国に持っていくと、違う菌になってしまうと聞いたことがあります。

その場所が大きな影響を与えるのです。

禅の修行というのもやはり場所が大事であります。

先日の「禅と発酵」の企画は、円覚寺の方丈で行いました。

かつてこの方丈で気功の先生にお越しいただいて気功教室を行った折に、先生が、方丈という場所の良さに驚かれていました。

ここは実に気のいい場所だというのであります。

坐禅もまたよい場所で行うのは、大事なことであります。

私もはじめて円覚寺の修行道場に来て坐禅をした時に、この場の良さに感動しました。

場がよいところで坐ると坐禅が深まります。

一般の方々も坐禅をするのにわざわざ円覚寺まで来てなさるのは、この場の良さがあるからでしょう。

場によって発酵するように、よい場によって坐禅も深まるものです。

それから人の手にも常在菌があります。

お漬物などもその人の手が触れることによって風味が異なってきます。

同じ分量で作っても触れる人の手によって異なるのです。

お味噌を作ってもそうらしいのです。

「禅と発酵」という企画を一緒に行った寺坂寛志さんは、多くの方にお味噌の作り方を教えておられるらしいのですが、同じ分量で作ってもその人その人によって味噌は違うのだそうです。

十人が作れば十のいろんな味噌になると言っていました。

こんなことも禅に通じます。

禅とはどんなものなのか、公式のようなものがあるわけではありません。

十人の人がいれば、十人の禅があります。

呼吸や姿勢にしてもそうです。

その人なりの呼吸や姿勢があるものです。

ですからあまり人と比較してあれこれ考えるよりも、自分なりのものがあるのです。

私もはじめは甘酒でも豆乳ヨーグルトを作るのでも、分量を量って作っていました、今は目分量であります。

いつもだいだいこんなものかなという感じなのです。

これは塩梅と言います。

気候や場所や人によって異なるので、公式に当てはめるようにはいかないのです。

その人その人、その人なりに生きるのが禅だと思っています。

手に常在菌があるというのも興味深いものです。

手で握るおむすびというのは、やはりその人の味わいがあるものだと思います。

母親が握るおむすびというのは、やはり常在菌なども関わってくるのだと察します。

そういうのがおふくろの味になるのかと思ったりします。

「禅と発酵」の企画では一時間寺坂さんの発酵についてのお話がありました。

寺坂さんのお話からも多くのことを学びました。

まず寺坂さんが、会場の皆さんに発酵食品というと何を思い浮かべるか聞かれていました。

すぐさまいろんな答えが出てきました。

納豆、ぬか漬け、味噌、ウーロン茶、発酵玄米、醤油、パン、ヨーグルト、酒、かつおぶしなどなどです。

これを聞いただけで参加者の方々はかなり発酵に詳しい人たちだと分かりました。

寺坂さんも鰹節と答えられたのには驚いていました。

そうです鰹節も発酵なのです。

私も対談の折に、子どもの頃、鰹節をよく削っていたという話をしました。

もう今では見られない光景だと思います。

この発酵の原材料となるのが糀であります。

糀という文字も米偏に花と書く場合と、麦に匊という字を書く場合があります。

麦に匊と書くのが古く中国から伝わった文字で、米に花と書くのは明治時代に出来た国字だと教えてくださいました。

お米に花がさくから糀だというのです。

そもそも糀とは何か、『広辞苑』で調べると、
やはり漢字は二種類出ていまして、

「米・麦・豆・麬ふすま・糠ぬかなどを蒸して、これに麴菌を繁殖させたもの。酒・醬油・味噌などを製するのに用いる」と解説されています。

麹菌は、麹かびのことらしく、『広辞苑』には、

「子囊菌の一種。菌糸は無色。

長い柄を延ばし、先端に多数の黄色い胞子(分生子)を形成する。

アミラーゼを生産し澱粉を糖に変えるので甘酒や味噌・醬油の製造に利用する。」
と書かれていました。

お米と糀とで発酵させて作るのが甘酒です。

甘酒というといつの季節のものかと寺坂さんがたずねるとすぐに夏という答えが返ってきていました。

これはかなり詳しい方であります。

普通は冬の寒い時に飲むものと思われますが、夏の飲み物だったのです。

江戸時代なども、夏はやはり今でいう熱中症で亡くなる人が多かったそうなのです。

暑いと汗をかきます。

汗をかいて体温を調整しようとします。

ところが汗というのは血液にも似たもので、汗を流してばかりいると、血液を流すにも等しいので、リスクが高いのだそうです。

そこであまり汗が出ると、脳が危険を感じて、体を省エネモードにするというのです。

そこで体に倦怠感が表れ、内臓機能が弱まり、食欲がなくなるというのです。

ひどくなれば、多臓器不全となって死に至るのです。

そんな時に甘酒を飲むとブドウ糖がとれて元気になるのです。

そこで甘酒が飲む点滴などと言われるのであります。

点滴はブドウ糖を入れることが多いのです。

また現代社会では、大腸癌による死亡がとても増えています。

大腸が弱るのは、いろんな原因があります。

一つは生活習慣の乱れです。生活のリズムが乱れて内臓が疲れてそれが大腸に表れるのです。

それから食生活の乱れです。

食事が乱れて内臓に負担がかかって大腸に影響が出て来ます。

それからストレスもあるそうです。

ストレスも胃や腸に負担をかけるものです。

そういう大腸が弱っているときには、甘酒などはとても腸によろしいのであります。

寺坂さんご自身糀を作る家に生まれ育ちながら、一時期は糀から離れてカナダで暮らしていたこともあったそうなのです。

ところがカナダで、ひどい風邪を患って苦しまれました。

日本に帰ってくると体調がよくなるというのです。

これは糀のおかげだと気がつかれたのでした。

私も寺坂さんのお話を聞いて、より一層発酵食品に力を入れようと思ったのでした。

 
横田南嶺

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