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臨済宗大本山 円覚寺

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2024.01.15
今日の言葉

竹に節有り

本日一月十五日は「小正月」であります。

「小正月」とは、『広辞苑』によれば、

「旧暦の正月15日、あるいは正月14日から16日までの称。元日(あるいは元日から7日まで)を大正月というのに対する。今も、さまざまな民俗行事が全国的に残る。小年こどし。二番正月。若年。」

と解説されています。

小正月の朝には、小豆粥をいただく習慣があります。

無病息災を願っていただくのです。

小豆には古来より魔除けの力があると信じられてきました。

小豆の入ったお粥は、無病息災を願う晴れの日のごちそうとされています。

修行道場でも、一月十五日の朝は、小豆粥をいただきます。

普段のお粥に小豆が入っているだけで、なんとも晴れやかな気持ちになるものです。

こういうのは晴れの食事であります。

晴れと褻ということがあります。

晴れは、『広辞苑』には、

「晴れ・霽れ」と書いて、

「①空のはれること。ひより。晴天。気象用語としては、ふつう雲量2~8をいう。
②日のあたる所。ひなた。

③ひろびろとはれやかな所。

④はれがましいこと。

⑤表向き。正式。おおやけ。公衆の前。ひとなか。
「晴れの場所」↔褻け。

⑥晴れ着。また、それを着たさま。

⑦疑いが消えること。」

という意味が書かれています。

5番に、
⑤表向き。正式。おおやけ。公衆の前。ひとなか。「晴れの場所」↔褻け。」

と解説があるように、晴れの反対語は褻であります。

け(褻)とは、『広辞苑』には、

「おおやけでないこと。よそゆきでないこと。ふだん。日常。わたくし。」と説明されています。

普段、日常の反対に、晴がということがあるのです。

かつて元服の儀を小正月に行っていたらしいのです。

「元服」は「男子が成人になったことを示し祝う儀式。髪型・服装を改め、冠をつける。年齢は11~17歳ごろが多く、幼名を廃し命名・叙位のことがある。武家では冠でなく烏帽子えぼしをつけ烏帽子名に改める。

16世紀ごろから庶民では前髪を剃ることに代わる。女子では髪上かみあげ・初笄ういこうがい・裳着もぎ・鬢びんそぎがこれに当たる。」

と『広辞苑』にございます。

一月十五日に元服していたということから、この日は成人の日となっていました。

それが二千年からは、成人式は、一月の第二月曜日に行われるようになったのでした。

この頃は、晴れと褻という違いがあまりなくなってきました。

正月のお客と話をしていて、この頃は、大掃除もおせち料理を作ることもだんだん減ってきて、正月に晴れ着を着るようなことも少なくなったと話を聞きました。

たしかにそうかもしれません。

おせち料理は作るというよりも、買うものとなっている気がします。

正月に若い知人に聞くと、おせちを食べることもないという方もいました。

思えば私なども田舎にいた頃には、みんなで大掃除をして、年賀状を書き、おせち料理を作るのを手伝ったりして、お正月を迎えたものでした。

晴れ着とまでは言えないにしても、皆で揃っておとそをいただいてお祝いをしていた記憶がございます。

それがこの頃はあまり晴れと褻の違いがなくなっているというのです。

お寺ではどうですかと聞かれましたので、禅寺などは、やはりこの晴れと褻とは異なり、正月は晴れの儀式を行います。

年末には大掃除に追われますし、みんなで餅つきをして、おせち料理も作ります。

元旦の朝には、午前二時半という早い時間ですが、みんな正装して、達磨大師の前で参拝して、お祝いをします。

菓子皿に、ミカン、昆布、梅、干し柿などが盛られて、いただくのであります。

おせちといっても修行道場のは、煮物と、紅白なますと、黒豆くらいなのですが、それだけでも十分に晴れの食事となります。

晴れ着を着る習慣は、今も成人式には残っています。

円覚寺の成人式も実に四年ぶりに開催されました。

どれくらいの方が集まってくださるか案じていましたが、三十名もの新成人がお越しくださいました。

女性の方は和服が多くございます。

やはり晴れの儀式というのは、何か心が温まるものです。

毎年の円覚寺の成人式では、鎌倉市の成人式がおわったあと、三々五々円覚寺に集まってくれて始まります。

かつては鎌倉市から新成人の名簿をいただいて案内を出してきましたが、今は円覚寺の幼稚園の卒園児と地元の山之内の方にのみご案内しています。

毎年皆で般若心経を読んで、お互いに無事を祈り、私が法話をして、至誠と書いた色紙を一人ひとりに差し上げて、記念写真をとり、そのあと皆さんにぜんざいを振る舞って終わるのです。

毎年成人の日の朝の新聞に、今年の成人は何人とか、成人にまつわる記事があるので、それを読んで法話の参考にしていました。

ところが、今年の成人の日に、成人にまつわる記事は、毎日新聞にはありませんでした。

事務所に行って読売新聞を見ても神奈川新聞をみてもありませんでした。

読売新聞は編集手帳にほんの数行書かれているのみでした。

一面は大きく能登の地震の記事と、政治の世界での裏金問題でありました。

一月一日に起きた能登の大地震は大きな被害をもたらしました。

二日には飛行機の事故もありました。

私は今年成人を迎える方々に、正月からこのような災害や事故があって、記憶に残る成人の年になると思いますと申し上げました。

鎌倉市では、消防団の出初め式は、消防団が被災地に支援物資を運びに出かけることもあって中止となりました。

お祝いどころではないという声も聞かれます。

しかし、新しい成人の方達にとっては、一生に一度のことであります。

成人を迎える人の数は、大阪万博の行われた一九七〇年の二百四十万人が最大で、それから減り続け、今年二十歳になる方は、その半分になっています。

コップに水が半分入っていて、半分しかないと思うか、半分もあると思うかによって大きく変わります。

そんなことを伝えて、私は百十数万人もいる若い皆さんに期待していますと伝えたのでした。

禅の言葉に竹に上下の節有りというのがあります。

竹は中が空洞です。

その竹が長く高く伸びることができるのは節があるからです。

節がないと中が空ですので、すぐに折れてしまいます。

竹には節があるから高く伸びることができます。

竹の節は、竹の強度を高めているのです。

人生もおなじような一面もある気がします。

節節に晴れの儀式があることによって、そこから頑張ろうという気持ちが湧いてくるものです。

晴れ着を着て集まってくれた成人達がこれからの日本を築いていってくれるのであります。

大いに応援してあげたいのであります。

 
横田南嶺

竹に節有り

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